ここから本文です

2000/09/15

<随筆>◇シドニー五輪の南北同時行進◇

 きょうから始まるシドニー五輪の開会式で、南北両チームの同時入場行進が実現する

 ▼韓半島を青地で型どった統一旗を掲げ、ユニホームにも同種のシンボルを付け、そして統一への思いを象徴するために両チームが一体となって行進するという。南北交流が本格的に進んでいることを、世界にアピールする行進となるだろう

 ▼南北スポーツ交流というと、91年に千葉県で行われた世界卓球選手権を思い出す。両チームのエースで女子ダブルスのパートナーとなった韓国の玄静和と北朝鮮の李ブニは、強敵の中国を破って優勝。会場の在日同胞合同応援団をはじめ、南北を熱狂させた。私もテレビの前で思わず涙ぐんでしまったものだ

 ▼しかし、その後の南北関係の悪化で統一チームが再び実現することはなく、南北をはじめ海外同胞社会をがっかりさせた。しかしそれから9年、南北頂上会談の成功を受けて、五輪の場で南北交流が実現する。今回は共同入場行進だが、次回はぜひ統一チームを結成してほしい

 ▼来年4月に大阪で世界卓球選手権が行われるが、ここでの南北統一チーム結成が焦点となる。在日社会ではすでに、複数のスポーツ関係者から合同応援団が提起されている。ぜひ大規模な応援団を結成してほしいものだ▼93年に引退して、同じ卓球選手と結婚。現在は後進の指導にあたっている玄静和さんは、「二度と別れることのない統一チームを作ってほしい」と訴えている。今度こそ、そうあってほしい。(L)