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2001/02/16

<随筆>◇韓国映画の変貌◇

 韓国映画の話題作「アタック・ザ・ガス・ステーション」(ガソリンスタンド襲撃事件)が、ゴールデン・ウイークに日本公開される。

 99年度の観客動員で、シュリに次ぎ第2位となる300万人を記録した作品だ。4人の若者がガソリンスタンドを襲って、社長と従業員を人質にし暴れまくるストーリーだが、そこに表現された若者の怒りが評判となった。

 犯人の4人は、プロ野球選手を目指したが、しごきのような練習に嫌気がさして野球部をやめた青年、親に画家の道を反対されて家を飛び出した青年など、家父長的社会の中で挫折を経験し、屈折した思いを抱えた青年たちである。

 ガソリンスタンドの社長や客に自分を苦しめた年長者の姿を見いだし、嫌がらせを加えるシーンを見ると、韓国社会の秩序と規律を守ってきた儒教社会の陰で、実は多くの青年たちが苦しんできたことを感じさせられる。

 そういえば、韓国でインターネットが爆発的に普及した要因の一つに、インターネットは韓国社会を支配する血縁、地縁、学閥と関係なく、自由に意見交換できるからだと聞いたことがある。やはり社会の底辺に生きる若者の姿を映画にした「ダイ・バッド」の柳昇完監督も、「韓国社会は1%の人たちが優遇されて、残りの99%は除外されている」と強調していた。

 怒れる若者たちの自己主張が今後、韓国社会の地盤変化につながるか注目したい。(Q)