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2004/06/11

<随筆>◇ポラリスのモッコリ(首飾り)◇                                                       韓国ヤクルト共同代表副社長代行 田口 亮一 氏

 題目をつける時「モッコリ」の訳を「ネックレス」にしようか「首飾り」にしようかと迷ったのですが、私の年代ではやはり「首飾り」の方が合っているようで、でも流石にあんまり古い表現なので自分で笑いだした次第です。
 
 さて、3月の日本出張の折、30年来の行きつけの店で、「今度帰って来る時ポラリスのネックレス買って来て」、私は一瞬「ポ、ポラリス…ナ・ナンナンダ、ポカリスエットは日本でも買えるじゃないか」と絶句したのですが、これは皆さんよ~くご存知の、「冬のソナタ」の恋人達が贈り交わしたプレゼントの首飾りのことなのでした。

 4月から再放送、主演女優のチェ・ジウさんの来日で盛り上がり、主演男優のペ・ヨンジュさんの来日で最高潮に達したのでした。なんてったって「ヨン様」の称号を贈り日本の社会現象ともなった、この「ヨン様」の来日時には羽田空港にナント5000人の熟女が押しかけたというのですから、英国の人気サッカー選手ベッカムもチョリカラ(「あっち行け」転じて「足元にも及ばない」の意)状態でした。

 「全ての星が移動しても僕が君のポラリス(北極星)になってあげるから、もう道に迷うことは無いよ」

このセリフが日本中を熱狂させた訳ですね。

 あまり知られてないけどペ・ヨンジュさんとチェ・ジウさんは5年前、夜のMBCの連続ドラマ「チョッサラン(初恋)」で準主役の学生役でやはり淡い恋人役をやってますよ。このペ・ヨンジュさんは確かに笑顔が素晴らしく清潔感が有り、男の私が見ても好感が持てますが、私がふと思った事は韓国の男性は昔からこんなに格好良かったかナァという事で、70年~80年代までは言っては悪いけど韓国男性は髪は皆マッシュルームカットで所謂ダサイの代表だったのですから。

 ところが今は彫りの深いギリシア彫刻のような若者が私の周囲にもゴロゴロ居る。人間の姿形が30年やそこらで極端に変化することも無いしナンデカナと考えてみましたが、これは環境が変わったのだと気がつきました。昔から「ヨン」様は沢山居たのでは。

 ところが国をあげての国防・自主・統一などの大命題のもとでの軍隊は勿論の事、学生運動・セマウル運動の時代には自分のモスプ(姿・形)の事などに神経を使うことも出来ないし必要も無かった時代だったのです(女性は違いますよ、女性はいつどんな環境でも平気で自分のモスプの事だけを考えますからね)。

 という訳で生活が向上し絶対的ではないけど北の脅威が薄らいだ感のある2000年代に入り若い男性の美・自意識の向上が現代の「ヨン」様を続々と生み出しているのでしょう。日本男児も頑張らないと日本女性はミーンナ「ヨン様」に連れて行かれますよ。

 アッそうそう、ポラリスの首飾りは新羅免税店で1個14㌦のものを10個買って5月の出張の時にお店に行って渡しました。大喜びでした。


  たぐち・りょういち  1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。