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2006/07/28

<随筆>◇イ・スンヨプ様々◇                                                                   韓国ヤクルト共同代表副社長代行 田口 亮一 氏

 世の中騒然となってきました。北韓のミサイル3チョンリュ(3種類)7ヨンパル(7連発)パルサァー(発射)。ムカーシ「泰平の眠りをさます上喜撰、たった四杯で夜も眠れず」なんて事がいわれましたが、今回はさしずめ「平成の眠りをさます隣国のミサイル連射でウワンチャワン(右往左往)」てなところでしょうね。

 そのことはひとまず、いつもの黒田先輩他のチョンムンガ(専門家)の皆様にお願いしてもっとカビョウン(軽い)お話に移りましょう。

 私は特に野球の大ファンという訳ではありません。大相撲のファンという訳でもないし、そういわれればゴルフもテニスも(もちろん観戦という意味ですけど)、そんなに大好きという訳でもないのです。ただ、テレビでこれらのスポーツを何かやってればマギョナゲ(漠然と)見てるのが大好きなのです。

 大相撲は二カ月に一度、ゴルフは時々LPGAを見る程度。従って私のアフターシックスは実につまらないものとなっていたのですが、オヌナル(ある日)、リモコンをガチャガチャ押して面白いテレビプロ(番組)を探していたら、み、みなさん、ナ、ナントあの見覚えある東京ドームと巨人の面々の顔が映し出されたではありませんか。

 そうなんです。日本のプロ野球公式戦の実況が生中継されていたのです。イ・スンヨプ選手の巨人移籍にともない、韓国のケーブルテレビ局が巨人の全試合を中継生放送することにしたモヤン(模様)です。

 伝統ある読売巨人軍の4番打者としてアジアのホームラン王、李選手が出場する為に、私は今年巨人戦の全日程を生中継で見れるウネ(恩恵)に浴したのです。残念な事に、これに気がついたのが巨人が絶好調で首位を守っている時ではなく、交流戦に入ってガタガタと負けがこんできた6月の初めでしたが、それでも生中継は嬉しいものでした。

 連敗中は原監督のウルル顔が何とも云えない哀愁をただよわせ、「また、負けろ」と若干嗜虐的な気持ちで毎日見るようになりました。チームの弱さとは逆に李選手の活躍には目を見張るものがあり、7月27日現在ホームラン30本とホームランダービーのブッチギリトップです。

 困るのが当社のヤクルト球団との対戦の時で、チームは負けてほしくないが李選手には打ってほしいという、やや変則的な応援もしています。ともかく、巨人戦全試合が茶の間で見られるので私は至極ご満悦状況。会社でのストレスも家庭内のイサカイもめっきり減少しイ・スンヨプ選手様々なのです。

 もし大リーグに移ると20億円との声も聞かれますが、スン様、来年も巨人で活躍して下さいね。そして願わくば日本でホームランの大記録をブッたてて下さいね。皆さん!今年はモニモニヘド(何といっても)ヨン様よりスン様だァーッ!


  たぐち・りょういち 1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。