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2007/09/14

<随筆>◇韓国が亜熱帯?◇ 韓国双日 大西 憲一 理事

 今年の韓国は遂に夏が来なかった。気象庁の梅雨明け宣言が7月29日に発表されたが、「サー夏休みだ。遊びに行くぞー」と喜んだのもつかの間、国民の期待を打ち砕くように連日の雨、雨、雨。「オイオイ、梅雨は終わってないぞ」。雨の降り方もおかしい。今日は久しぶりの晴天だな、と思わせておいて、いきなり豪雨がやってくる。それに蒸し暑い。「韓国の夏は暑いがカラーッとしていてしのぎやすい」がうたい文句だったが、これでは東南アジアの亜熱帯気候とそっくりではないか。気象庁は何やってんだ。

 国民の激しい不満に気圧されたのか、気象庁は8月15日になって、「これまでの梅雨の概念を捨てて、夏場の降雨の時期を“雨季”と区分しようという一部学会の主張を公式会議の議題に選定」と表明した。ありゃりゃ、韓国が亜熱帯になるのかいな?まさか、たった1年の現象だけで温帯から亜熱帯に移るとは思えないが、気の早い国民性だけにどうなるか分からないぞ。

 ところで最近の異常気象はすさまじいばかりで、日本は連日40度を越して熱中症で亡くなる人も少なくなかったようだが、日本は亜熱帯を飛び越えて熱帯になったのかな?中米ではハリケーンが猛威をふるい、南洋のある小国は年々水没して国の存在自体が危ぶまれている。全て地球温暖化のなせるわざだ。自然を破壊して来た人類に対し神の鉄槌が下る日も遠くはないかもしれない。

 慣れない雨季の蒸し暑さにすっかりバテていたが、8月29日にいきなり秋になった。「秋来ぬと目にはさだかに見えぬども…」と昔の歌人がうたったように、季節はゆっくりと変わってこそ情緒があるものだが、今年の秋は実に唐突だった。「もういいよ。風がささやく衣がえ」毎日新聞の川柳欄で見た私の好きな句だが、風がささやくまでもなく、突然涼しくなったものだから、これまで超ミニスカで闊歩していたアガシ(若い女性)が一斉にジーンズに衣がえしてしまった。グヤジーイ。これも異常気象の被害だ。

 韓国女性の美脚は掛け値なしで世界有数だが、ここ数年はジーンズ一色でミニスカ派のオジサンは密かに心を痛めていたが、今年は一変してミニスカ大流行でオジサンは嬉しい悲鳴を上げていた。余談ながら当社の関係会社(釜山)勤務のミス・キムの脚線美は一見に値する。日本の取引先がミス・キムの美脚見たさに釜山詣でをするという伝説もあるくらいで、その結果、商売大繁盛。ミス・キムも心得たもので真冬でもミニスカという商売熱心さ。

 というわけで、8月29日以来、ズーッと秋である。食べ物も美味い。「チョンゴマビ(天高馬肥)」。私の独り言が聞こえたのか、最近、ダイエットに苦労している隣席のミス・リーが険しい視線を浴びせてきた。


  おおにし・けんいち 福井県生まれ。83-87年日商岩井釜山出張所長、94年韓国日商岩井代表理事、2000年7月から新・韓国日商岩井理事。04年4月、韓国双日に社名変更。