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2007/03/23

<随筆>◇ファガナ(腹が立つ)HOTEL二題◇                                                韓国ヤクルト共同代表副社長代行 田口 亮一 氏

 3月に入ってからの寒さと強風も少しずつ治まり日中はやっと春めいた日差しをあびて気持ち良くすごせるようになりました。季節は一年で最も好きな季節になろうとしているのに、最近の私は腹を立てることが多いこと多いこと。いわく「北陸電力臨界事故隠蔽問題」、いわく「西武球団の学生先物買い銭渡し問題」などなど。

 いつの頃からでしょうか。何か問題を起こすと責任者が3、4人記者会見をして深々と頭を下げて陳謝し、そのままズーッとお辞儀をしたまま頭をあげない。陳謝することが悪いとは云わないが、何んでもかんでもあれをやれば「ハイッもうこれでオシマイ」といわれているような気がしてファガナムニダ(腹が立ちます)。

 ファガナンギメ(腹立ちついでに)、今日は日韓両国の腹立ちホテルをコンピョンハゲ(公平に)紹介いたしましょう。

 まずは日本のホテルの場合。コンラッドホテル東京。2月某日、本社との打合せ会議のため、当社副社長と取締役を連れて渡日しました。個人の場合にはこんな高級ホテルには泊まらないのですが、日本側で費用負担してくれると言うのでカマーニイッソスムニダ(成り行きに任せました)。

 無事に会議も終わり、一泊して朝8時に朝食を一緒にというとことで3人はロビーに集まり、やはりイルシク(和食)が良いというのでホテルの人に「和食堂」はどこですか?」と尋ねたところ「私どもは和食堂は準備しておりません」。ナヌッ、いくら高級とはいっても日本のホテルじゃないかッ!と怒鳴ってもオッチョルスオプスムニダ(どうしようもありません)。ないんですからね。仕方なくタクシーで三井アーバンホテルまで行って、そこの朝ごはん定食を食べて帰って来ましたが、皆さん信じられますか?日本の首都東京のド真ん中にある最高級ホテルに和食堂が無いんですよ。

 そして今度はソウルのホテル(厳密にはホテルに入っている食堂)の場合。(ナーンカ私の場合、いつも食堂関係で腹を立てるナ)。シェラトンウォーカーヒルホテルの韓食堂「温達」。3月某日、日本の一流食品企業のヘジャンニム(会長様)お二人をお迎えしての夕食会。お二人とも30年来の親韓派でソウルに見えた時は韓国食一辺倒。ダラソ(従いまして)ここでもユッケ、パジョン、カルビチム、センナクチとここまでは良いのですが、問題は内容と価格。カルビチムは甘辛い汁全然無しのパッサパサのカルビ肉。センナクチは動いてはいるもののホンの小皿ひと皿。このセンナクチの価格がナ、ナント12万ウォン。市中で食べればまァ2万ウォンのもの。旅行社のガイドさんも流石にノモジョッて(引っくり返って)ました。

 世界でも一番高いと云われる日韓両国のホテル代。それに見合ったサービスなり奉仕をしないと、そのうちモードゥ(ミ~ンナ)中国や東南アジア方面にとられちゃうんじゃないかと本気で心配になりました。


  たぐち・りょういち 1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。