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2017/07/07

<随筆>◇連れて帰って!◇ 呉 文子さん

 その日もエレベーターのドアが開くと、車椅子に乗った母が目の前にいた。「遅いねぇ」。開口一番、拗ねたようなひと言に、朝からどれほど待ちわびていたのか、母の孤独がひたひたと伝わってくる。すっかり小さくなってしまった母の肩にそっと手を添えながら、ごめんなさい、と心で詫びていた。

 母が米寿(88歳)を迎える半年ほど前のこと、介護施設入所までの1年半、母を我が家に迎えて一緒に暮らした。一人暮らしをしていた母が、娘との生活に過大な夢と期待をもつのは当然だろう。母の期待に応えようとかなり頑張った。


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