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2000/11/10

<総合>大宇自動車が倒産

 韓国第2の自動車メーカー、大宇自動車が8日、最終不渡り処理され事実上倒産した。これにより、大宇自は法定管理(日本の会社更生法適用)の申請に着手したが、18兆ウォンの巨額負債をかかえ再建の道のりは遠く、「買い叩かれても米GM(ゼネラル・モーターズ)への身売りしか残っていない」とみられている。仏ルノーのように国有化して再建をはかるべきだという論者もいたが、結局、債権銀行団主導のワークアウト(企業体質改善作業)が完全に失敗し、企業構造調整を年内に完了したい政府にとって大きな痛手だ。巨大企業であり海外生産工場・販売法人は40にのぼる。1万社に達する下請け企業の連鎖倒産も憂慮される
など国内外にメガトン級の影響を及ぼしそうだ。
 
 大宇自動車は3日、銀行団による整理対象企業に選ばれたばかりだった。その3日後の6日に物品代金の手形447億ウォンを決済できず第一次不渡りを出した。大宇経営陣は追加資金支援を要請したが、債権銀行団は「労組の再建計画同意書がなければ不渡り処理する」との態度をとり、決済を1日延期した。だが、労使協議の結果、労組が同意書を拒否したため不渡り処理された。
 
 労組側は、「債権団が一方的に要求する同意書提出は受け入れられない。政府、債権団、労使が参加する4者協議で決めるべきだ」と反論、「会社が法定管理に入っても正常操業を続ける」としている。メインバンクの厳洛鎔・産業銀行総裁は、労組の同意書を要求した点について「経営正常化に労組の協力が不可避だ。今年初めの団体協約では5年間構造調整をすることはできないとなっているが、それではGMとの交渉に支障が生じる。仕方なかった」と語った。
 
 財政経済部は、「原則に則った不可避な措置」との反応をみせ、経済への衝撃を最小化するための対策を急いでいる。財経部関係者は、「下請け企業など関係企業は1万社にのぼる。釜山や大邱の部品供給企業では倒産の危機にあると伝えられている。経済全般への悪影響が予想されるだけに、去る3日の不良企業判定結果発表の際まとめた安定対策に準じて支援するが、必要ならば追加対策も作り得る」と述べた。

 最大の問題は、大宇自の倒産でGMとの売却交渉にもどんな影響を及ぼすかだ。GMは予備審査をほとんど終え、本格的な買収交渉を開始するかどうかを検討中だった。そこに今回の不渡り処理となっただけに、GMが交渉を開始するとしても大幅に引き下げてくることは必至だ。債権団関係者は、「起亜自動車とサムスン自動車も法定管理を経ながら売却した洗礼がある。売却価格は下がるだろうが、債権・債務が凍結されるため、交渉はむしろ順調に行くかも知れない」と楽観している。

 だが、楽観はできない。いったいどこまで買い叩かれるのかという問題がある。さらにはフォードが買収を止めた先例があるように、GMも断念する可能性も排除できない。大宇の命脈が完全に絶たれるときだ。GMへの売却交渉失敗の場合に備えて対策も必要だろう。いまからでは現実的に困難だが、国有化して再建をはかることを含め選択肢を広げておく必要がありそうだ。その際に、労使協調の態勢を早急に構築することが迫られよう。