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2001/10/19

<総合>厳しい世論の批判の中 韓日関係修復に動く

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    青瓦台での昼食会を前に

 韓国政府は、金大中大統領と小泉純一郎首相の韓日首脳会談実現を受けて、歴史教科書問題での対抗措置としてとってきた日本文化開放凍結や軍事協力中断などの報復措置を段階的に撤回する方針を固め、両国関係の修復に動き出した。だが、今回の首脳会談に対して野党や世論は「何の成果もなかった」と厳しく見ており、本格的な関係修復には国民感情を強く刺激したサンマ漁問題などで韓国側に歩み寄るなどの日本側の援護射撃も必要になっている。

 政府は、小泉首相の訪韓を受け入れた時から、関係正常化のための事後措置を検討してきた。

 具体的には、①さる7月に発表した日本文化追加開放の無期限凍結措置の解除②中断した軍事協力の再開③ワールドカップ及び文化行事のための政府レベルの会議開催④第3回韓日閣僚懇談会の開催などで、来月にも韓昇洙・外交通商部長官が来日、田中真紀子外相と対策を協議する考えだ。

 韓日双方とも早期の関係修復で一致している。米テロ・報復攻撃など世界情勢は緊迫しており、来年には韓日ワールドカップも迫っている。両国政府には、現在のような非正常な関係が続けば各方面に大きな影響を及ぼすとの判断がある。

 政府の高位当局者は、「韓日関係は早期に正常化する必要がある。批判はあるが、首脳同士が会談したことは重く見なければならない。確かに十分とはいえないが、歴史共同研究機構をつくり教科書問題に対処していくことで合意し、サンマ漁問題でも高位級会議で妥協策を模索することになっている。経済面でも投資協定の年内締結で一致した」と述べながら、各種交流は再開されることになるだろうと明らかにした。

 金大中大統領は、「教科書問題、靖国神社参拝問題、サンマ操業問題の3大懸案は完全に解決にいたらなかったが、問題解決のための糸口はつかんだ」と述べ、今後も協議を続け問題解決をはかるべきだと強調した。また、小泉首相の韓国国会訪問が阻止されたことにたいして激怒したという。

 青瓦台(大統領府)サイドでは、対日強硬一辺倒の動きに対して、「先の中日首脳会談での江沢民主席の態度をはじめ中国側の柔軟な姿勢を参考にする必要がある。接触を続け是正を求める大人の対応が必要だ」と苛立ちを隠さない。

 20日からAPEC首脳会談が始まる上海で、第2回韓日首脳会談が開かれるかがまず最初の注目点だ。