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2001/02/16

<総合>韓日共同プロジェクト六本木最大の複合ビル着工

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             27階建て複合ビルの完成予想図

 日本サムスン(東京都中央区)と三井不動産(東京都中央区)の韓日共同プロジェクトである大規模複合オフィスビルが、都心の一等地、港区六本木でこのほど着工した。総工費440億円を投じ、2003年完工予定。敷地面積5879平方㍍、延べ床面積6万2060平方㍍、地上28階、地下1階建てで、完成すれば六本木地区で最大規模のビルとなる。着工式で双方の関係者から「韓日協力のシンボルにしたい」という声があがったが、都心の再開発地区でこれだけの大規模なプロジェクトが韓日の協力で行われるのは初めてであり、両国パートナーシップを象徴する新名所になると期待されている。

 この韓日共同プロジェクトは、六本木3丁目再開発の一環として進められており、南北線の「六本木1丁目」駅に直結する最高の立地だ。周辺の開発計画と併せて、外資系企業を中心とした国際ビジネスエリアの核になりそうだ。21世紀型の最新鋭ビルとして設計され、オフィスビルを中心に、上層部に外国人向け高級賃貸マンション、低層部には商業施設を配する計画だ。

 この巨大ビル建設のきっかけは、5年前のさかのぼる。当時、日本進出45年を迎え、日本でのより一層の現地化を進めていた日本サムスンは、拠点となる本社社屋の建設を計画していた。長年付き合いのある三井不動産の協力を得て、旧IBMビルと周辺ビルの跡地を合わせて大規模な敷地を確保、共同で建設することになった。これも、最近の韓日関係の友好ムードを盛り上がりを反映したものといえる。

 特に今回は、事業自体を担保に資金調達するという一種のプロジェクトファイナンス方式をとった。日本サムスンや三井不動産が所有する土地を中央三井信託銀行に一括して不動産信託して、同行が事業資金全額をさくら銀行から融資を受ける形で建設する方式だ。ビルが完成後、家賃収入から投資額や金利分を回収するもので、これは事業性と信用性がないとなかなか踏み切れないものだが、実際に資金を出すさくら銀行では「十分に利息は取れる」と判断したようだ。三井関係者も、「日本サムスンが本社をこのビルに移し上層部の住居にも入居する予定であり、サムスンがビッグテナントなので安心できる」と話した。

 今回の建設方式採用で、日本サムスンにとってはビル建設のための追加投資の必要がなくなり、信託受益者として建設後の収益の一部を確保できることになった。日本サムスンは、敷地の57%を所有している、いってみれば大地主のようなものだ。資金調達や建設は三井側が担当するという構図になる。日本設計が設計、環境調査を行い、施工には財務構造が強いと評判の西松建設が当たる。ここにはサムスン建設が参画する。地主でもある三井不動産は、ビルの管理・運営などの総合プロデューサーの役回りとなる。大掛かりな韓日共同チームの誕生だ。

 日本サムスンは、このビルが完成する2003年に日本進出50周年を迎える。鄭社長は、「これを契機にもっと地域に密着し、地域に貢献する会社をめざしたい。韓日共同プロジェクトとして建設できるのが大変意義深い。必ずや東京の新しい名所になると確信する」と強調した。

 パートナーの三井物産の岩沙弘道社長も、「全社をあげて取り組んでいるプロジェクトであり、日韓協力の象徴のような素晴らしい信頼関係が築けると思う。21世紀が求める新しいビルとして世界でも有数のものにしたい」と抱負を語った。

 今回、このプロジェクトに資本参加も決めた西松建設の金山良治社長は、「前例のないビル解体作業も無事故で終わった。最新鋭のオフィスビルをめざす」と施工側の意気込みを語り、日本設計の内藤徹男社長も「新しい発展を象徴するデザインをめざした」と強調した。

 このように韓日友好を象徴するかのうように共同プロジェクトは順調な滑り出しをみせたが、今後どんな結実をするのかが注目される。