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2001/01/01

<総合>大交流時代の幕開け

 2001年1月1日。21世紀最初の新年を迎えた。新しい世紀の始まりという節目の年であるが、私たちはこれからの100年をどう迎えるのだろうか。

 20世紀は「戦争の世紀」「科学技術の世紀」といわれ、度重なる戦争で数千万人もの命が奪われた半面、技術革新で世界は大きく進歩した。21世紀は、この技術革新が戦争の危険を減らす大きな役割を果たし、「平和の世紀」になるのではないかという期待がある。
 
 すでにIT(情報通信)革命で、世界中の人々がインターネットを介して双方向の自由な対話を始めている。世界中どこからでも通話できる次世代携帯電話では、映像、翻訳機能つきだ。このように技術の発達で意思疎通は世界レベルで広く深く進展することになる。一方で、人の行き来も頻繁になっている。EU(欧州連合)は域内の移動を完全に自由にしたが、国境は世界的に低くなっており、今後何の制約もなく自由に往来し交流を重ねる新時代が到来すると思われる。
 
 このような人種・民族、宗教、国境を超えての交流で、相互理解は飛躍的に進むだろう。お互いの文化、社会に触れ違いを知れば、諍(いさか)いの芽を事前に摘むことも可能だ。歴史上、15世紀に始まった「大航海時代」があった。それが一方的なものであるのに比べ、これから訪れる「大交流時代」は、相互尊重・相互理解・相互協力を特徴とし、世界平和を大きく前進させるに違いない。

 冷戦の化石状態だった韓半島にもこうした交流の大きなうねりが押し寄せており、昨年6月の南北頂上会談以降、南北関係は「敵対」から「共存」へと大きく動き出した。その南北和解を確かなものにできるかどうかは、今春とみられる金正日総書記の訪韓実現いかんにかかっている。
 振り返ってみれば、20世紀に韓民族は肉親が半世紀にわたり音信も交わせない辛い思いをしてきた。もう十分すぎるほど苦痛に耐えてきた。南北間の対話・交流・協力をレールに乗せ、誰もが行きたいところに行ける南北自由往来を実現できないものか。ぜひ第2回南北頂上会談では、この重要課題に取り組んでほしい。

 さて、南北関係を前進させる上で韓国の役割が大きく、特に南北経済協力を本格化するためには韓国の支えが不可欠だ。ところが、韓国経済を取り巻く環境は厳しく、今年の成長率は5%台に減速する見通しであり、失業者も再び100万人台に達すると憂慮されている。こうした不安の中で、「第2のIMF危機」到来が囁かれてもいる。
 
 こうした現状を打開する上で、まず金融・財閥改革が予定通り2月で完了するかどうかが最初の試金石だ。IMF危機克服のため3年がかりで進めてきた経済改革であるが、ほころびの目立つ制度・システムを改め、経営体質を強化できる体制を整え、韓国経済を再跳躍の軌道に乗せてほしい。リストラ旋風で労使紛争も懸念されるが、対話解決の成熟した労使関係の確立も重要な課題だ。