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2002/05/17

<総合>製造業 財務構造改善、収益は低下

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 韓国銀行は15日、「2001年の企業経営分析結果」を発表、昨年の韓国の製造業は低金利の恩恵を受けて負債比率を大幅に下げるなど財務構造を大幅に改善したが、営業利益率が過去最低水準に低下するなど収益は悪化したと明らかにした。負債比率は1967年(151・2%)以来最も低い182・2%に下がっており、韓国企業の病弊だった過剰借金体質からの転換が窺われる。だが、その一方で不況の影響で売上の伸びが大幅に鈍り、営業利益率は統計を採り始めた61年以来最低の0・4%に落ち込み、収益構造の改善が大きな課題になっていることをみせつけた。

 今回の経営分析に当たって調査したのは製造業・建設業・卸・小売業の3323社。上場企業と外部監査対象企業など韓国の主要企業が網羅されている。調査方法は各社の財務諸表を分析、財務構造、収益、成長性などに重点をおいた。

 分析結果、財務構造改善、収益悪化と2つの大きな特徴が明らかになったが、これは今後の韓国企業の将来を展望する上で大きな参考資料だ。特に製造業の財務構造改善は注目に値する。

 製造業の平均負債比率(自己資本に対する負債の比率)は、98年の303%、99年の214・7%、2000年の210・6%と年々低下しており、IMF危機が発生した97年の396・3%に比べ半分以下に低下した。このような負債比率低下傾向は、これまで韓国企業の多くが過剰負債をかかえ、高度成長下、売上を増やす中で経営展開していたが、IMF危機以降それが困難になってきたことを反映している。

 昨年の負債比率が200%を下回ることで、米国(159・4%)や日本(151・2%)との格差も相当に縮まった。負債比率が下がったのは、金利構造の変化がある。韓国の場合、これまで20%、30%に達する高金利が当たり前だった。それがIMF危機を克服する過程で急激に低下し、特に昨年は4%台にまで下がる低金利が実現した。この低金利基調下、株式発行や銀行の出資転換、債務免除などが相当に行われ、企業の負債比率低下に貢献したと韓銀は分析している。

 これにより、全体資産に占める借入金の比率は39・8%に下がり、89年(38・5%)以来の最低水準となった。また、資産に占める現金の比率も78年以来最も高い16・4%を記録した。これらの数字から明らかなように製造業の財務体質は相当に改善されたと評価できる。

 だが、収益の面では多くの問題をかかえている。昨年の製造業の売上増加率は1・7%にとどまり、前年の15・2%を大きく下回るばかりか、98年を除き過去4年間で最低水準だった。この売上鈍化を背景に売上に占める利益の比率である営業利益率が5・5%に低下した。過去4年間で最低水準だ。また、金融費用と為替差損などを除いた経常利益率をみると、前年より0・9ポイント下落した史上最低の0・4%に低下している。かろうじて赤字を免れたが、1000ウオン相当のモノを売って、わずか4ウオンしか利益をあげることができないことを示すものだ。欧米企業の収益率に比べれば大きく見劣りする数字だ。 

 それでも97年、98年のように赤字に転落しなかったのは、金利下落で金融費用負担率が65年以来最低の4・2%に下がったことと、株価上昇で有価証券評価益が発生したためだ。法人税や特別損失などを差し引いた純益はゼロになる。営業利益率や経常利益率が下落したのは、不況の影響が大きく売上が伸び悩んでいる上に固定費の負担がかさんだためだが、韓国企業はこれまで売上が多いが収益は低いため「外華内貧困」と揶揄されてきた。それが昨年は、売上も少なく収益も低い状態になっており、経営が相当に厳しかったことを窺わせた。

 韓銀では、「これまでは売上を増やし費用を充当する高成長構造が可能だったが、今後はこれ以上、売上だけを増やすことはできない状況だ。企業は収益性を高めるため、売上増大より費用節減に力をいれなければならない」とみている。一方、製造業以外では、建設業が景気回復や出資転換などで収益と財務構造がともに改善された。