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2002/05/10

<総合>経済政策が今後の争点に

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        野党・李会昌候補㊧、与党・盧武鉉候補㊨

 年末に投票が行われる大統領選挙は、与野党の候補が決まり第二ラウンドを迎えた。与党・新千年民主党の盧武鉉候補は4月27日の全党大会で正式に選出され、最大野党・ハンナラ党の李会昌候補は党内選挙で圧勝、今月10日の全党大会を待たずに大統領候補に確定した。今後7カ月間、有力両候補はがっぷり四つに組み熾烈な選挙戦を展開しそうだ。ここに第3の候補がいつ名乗りをあげるかも注目される。

 李会昌候補は7日の忠清北道地域の党内選挙で圧勝、累計得票率72・6%に達し、残るソウルで1票もとれなくても他の3候補は逆転できず大統領候補に確定した。投票結果後の記者会見で李候補は、「韓国の歴史上もっとも清潔な政府をつくる」と力説、政権奪取への意欲をみせた。最高裁の判事を務め、「法と原則の政治」が信条だ。

 李候補は党内選挙の全国ツアーで各産業・民生現場に赴き、大衆とともに生活する「生活政治人」の印象も焼き付けた。経済政策においては市場経済を重視する政策を掲げており、経済界の評価は低くない。

 今後の戦略としては、6月13日の地方自治体選挙の支援に総力を傾け、首都圏や嶺南圏で勝利し、その余勢を買って大統領選挙まで有利に運ぼうという考えだ。

 一方の盧武鉉候補は大方の予想を覆し党内選挙で勝利した。貧農の3男に生まれ、80年代の民主化時代に弁護士として拷問をうけた学生や運動家の弁護に当たるなど人権や労働問題に詳しい。98年の現代自動車の労使紛争に際して、仲裁に入り労組を説得して実績もある。

 特に、経済政策に対しては改革姿勢が強く親労組的とみられているため、財界、労働界強い関心が寄せられている。この間の選挙戦で明らかになった盧候補の経済政策は、①自由競争は重視するが、市場の正しいルールを確立するためには不公正慣行を改めなければならず、そのためには財閥に対する規制が必要だ②また、社会のセーフティーネット、庶民生活の安定のため、分配の強化が必要になるというもの。労働界からは「労働者の経営参加」を求める声もある。

 盧候補の経済政策が西欧型の分配重視であるとすれば、李候補は米国型の市場秩序優先の成長重視ということになる。まだ具体的な政策提示はなされていないが、今後経済公約をめぐって大きな論議を呼びそうだ。