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2002/01/01

<総合>W杯が切り開く韓日新時代

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    2002年W杯成功のためつくられた巨大なアドバルーンにメッセージを書くFIFA関係者

 2002年の新年を迎えた。未曾有の大惨事を引き起こした米テロ事件から世界は立ち直れるのか、それとも対立と憎悪は拡大していくのか。極めて重要な1年の幕開けである。

 欧州では新年から単一通貨ユーロが流通する。EU(欧州連合)加盟12カ国・3億人が、自由に国境を越えて同じ紙幣で売買できる、未来へ向けての壮大な試みだ。民族・国家・宗教がせめぎあう一方で、それらすべてを超えて「共通の家」に住もうという動きが混在する両極化現象が、今年はどんな展開をみせるのか注目したい。

 韓日関係にとっても今年は大変に重要な年である。経済的には両国とも厳しい1年が予想されているが、まず150日後に迫ったサッカーのワールドカップ(W杯)大会を成功させなければならない。

 W杯は全世界の60億人、延べ600億人が視聴する世界最大のスポーツ祭典であり、W杯の成功は歴史的にも開催国の飛躍をもたらした。例えば82年のスペイン大会。当時、長いフランコ軍事政権の残滓もあり対外イメージはよくなく、国内的にも政治的対立が激しかった。だが、W杯成功のため国が一つにまとまり、対外イメージを一新した。前回98年のフランス大会の場合も、少数民族問題で揺れていたもののW杯を契機に国内の和合が図られ、自国が優勝するという最良の結果まで得て、その後の経済回復をもたらしたのは象徴的だ。

 今回のW杯はアジアで初めて開かれる大会であり、W杯史上初めての共催である。W杯を立派に成功させることで絶好のアピールとなる。韓日の協力関係を内外に示すだけでなく、アジアの地位を高めることに繋がるだろう。

 韓日はすでにW杯準備の協力関係を築いており、W杯を盛り上げるためさまざまな行事も組んでいる。韓日両国政府は、今年を「国民交流年」と定め、お互いの行き来が急増することが予想される。このため、日本政府は、韓国からの日本訪問に際して観光ビザの有効期間を現行の15日間から90日間に大幅延長し、W杯期間中はノービザにする方針を決めた。すでに日本人の韓国訪問については93年かノービザを実施しており、日本も全面的にノービザを実施すべきだという声が以前からあったが、ひとまず大きな一歩を踏み出したのは間違いない。

 このようにW杯を契機に新たな潮流が生まれているが、天皇が昨年12月23日の誕生日を控え、「日本皇室のルーツは韓国」であることを公式に認めた発言もその一つであり、画期的な意味をもつだろう。

 天皇の発言は、「桓武天皇(781―806年)の生母が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」と述べたものだが、天皇は皇太子時代から韓国に関心が高く、以前から韓国訪問の希望を抱いていた。W杯の韓国側責任者の鄭夢準・W杯韓国組織委員長はソウルでの開幕式参加を求めているが、天皇の訪韓が実現すれば韓日関係を歴史的に前進させる大きな意義がある。日本の中には慎重論が強いが、ぜひ実現させてほしい。

 経済的にも重要な動きがある。3年越しの懸案となっていた韓日投資協定の締結に合意がなされ、今夏にも発効の見込みとなった。協定は両国間の企業による経営権の取得や現地法人の設立を容易にするもので、投資の許認可の段階から進出企業に対して受け入れ国の企業と同等に扱う内国民待遇を与え、互いの国の企業を第3国より不利にしない最恵国待遇を保証する。この協定発効により、韓日間の投資促進が大いに期待される。

 これが誘い水となり、論議が進められている韓日自由貿易協定の実現に向かってほしい。関税障壁の撤廃にとどまらず、資本と移動の自由も伴う共同市場になれば、韓日はさらに発展するだろう。将来的には、中国や周辺諸国を含めた東アジア地域共同体を形成することも夢ではない。W杯がその起爆剤になってほしいが、アジアの中で韓日は経済的に突出しており、アジア発展のリーダー的存在であるとの自覚が必要だろう。

 米国の元国務長官だったキッシンジャー博士は、「いずれにしても問題解決のためには交流が必要だ」と述べたことがあるが、W杯はお互いをさらに深く知る契機になる。
5月31日のキックオクで始まるW杯は単なるスポーツ大会の域を越えて、未来志向的な韓日新時代を切り開く大きなチャンスであり、これを逃さないよう両国国民は一致協力して立派なW杯大会にしよう。