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2003/10/31

<総合>東アジア諸国外貨保有高で上位独占

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 韓国で外貨保有高が増え続けている。財政経済部によると、韓国の外貨保有高は10月15日現在で1438億㌦に達し、昨年末の1214億万㌦に比べ224億㌦も増えた。外貨保有高が底をついた、あのIMF危機の悪夢が遠い過去の出来事のような増え方だ。日本、中国、台湾、香港も韓国に劣らぬ勢いで増え続けている。この5カ国・地域合計で外貨保有高は1兆4353億㌦に達し、世界の外貨をほぼ独占している。これに対して最近、IMFは「外貨保有の蓄積速度があまりに速すぎる」とクレームを付け出し、韓国でも再び適正保有高水準と効率的な管理をめぐる論議が巻き起こっている。

 IMFのリサーチ担当副理事であるデービッド・ロビンソン氏はアジアウオールストリートジャーナル最新号で、「アジア経済が全般的に成長しているが、相当量の外貨保有高追加蓄積は各国の通貨供給の調節を難しくし、インフレ圧力を増加させ得る」と警告した。確かにアジア各国の外貨保有高の増え方は急速だ。今年に入って9月末現在の増加率は、中国34%、台湾17・9%、韓国18・4%となっている。

 適正外貨保有高を正確に算出できる公式はない。国によって資本自由化度、対外依存度、通貨・為替政策が異なるかだらだ。ただ、アジア通貨危機を契機に国際金融界では、1年未満の短期対外債務、月間対外経常取引規模、外国人の証券市場投資規模などを考慮に一つの基準を設けている。それによれば、韓国の適正外貨保有高は900-1000億㌦水準と見られている。現在はその水準を大幅に上回り、ウォン高の持続、経常収支の黒字拡大が見込まれることから外貨保有高はさらに増加し、年内に1500億㌦を突破するとの予測もある。

 そうした中でのIMF側の警告だが、韓国銀行では、「1997年末にわが国の外貨保有高は事実上底をついた。国家不渡りに直面し、IMFに救済金融を依頼する屈辱をなめた。このような教訓に照らし、いまの韓国にとって外貨保有高は必ずしも適正線を超えたと言うのは当たらない」と受け止めている。

 また、専門家の間にも「韓国には1300億㌦を超える対外債務があり、特に1年未満の短期外債が500億㌦を超えている現実を考慮にいれれば、外貨保有高が多いにこしたことはない。IMF側の主張は、米国の意を受けて韓国などアジア通貨の切り下げを狙いとしたものだろう」という見方が少なくない。

 これに対して、研究機関の一部には、「外貨危機を経験したわが国としてはできるだけ外貨保有高を増やしたいという気持ちは理解できるが、いまは安定性・流動性とともに収益性を高める方策も考慮しなければならない」という指摘もある。

 それにしても、外貨保有高の上位を韓国勢が独占している現実をどうみるべきだろうか。かつては外貨保有国ベストスリーの常連だったドイツも920億㌦で香港の下にある。上位5位はいずれも東アジアの漢字圏であり、世界で最も経済活力のある地域であることが注目点だろう。