ここから本文です

2003/08/01

<総合>大宇エレクトロニクスが復活

  • sogo_030801.jpg

       大宇エレクトロニクス(旧大宇電子)の亀尾カラーテレビ工場

 1999年の大宇グループ崩壊とともにワークアウト(企業改善作業)に入った大宇エレクトロニクス(当時、大宇電子)が、不死鳥のように蘇った。99年当時、2兆9000億ウオンの巨大な赤字を計上、その後も赤字続きだったが、今年に入ってついに黒字転換した(上半期経常利益660億円)。家電業界は不況下にあるにもかかわらず、業績を伸ばしている背景には紛争のない安定した労使関係があった。盧武鉉大統領も将来が期待できると同社仁川工場を視察、「労使関係の模範だ。考えていたより2倍の感動を受けた」と激励した。

 大宇エレクトロニクスはカラーテレビ、ビデオ、冷蔵庫、洗濯機などを生産する家電メーカー。国内シェアでトップ争いを演じたこともある。昨年11月に社名を変え、新たな総合家電メーカーとして生まれ変わった。大宇グループ解体の余波を受け、最悪の経営状態に陥ったが復活できたのは、債権団と役職員の犠牲があったからだ。

 債権団は当時、同社の技術力、海外営業網などを考慮し、再建の可能性があると判断、4兆6500億ウオンの負債を帳消しにした。また、5200億ウオンを出資転換した。会社側は、骨身を削る構造調整を進め、2000年当時1万人を超えていた従業員を4000人に減らした。

 このようなリストラの中でも労使紛争は全く起きていない。同社は、大宇電子と大宇モーターの結合で1社2労組体制となり、労使紛糾の憂慮があったが、今年の賃金交渉でもすんなり妥結した。

 一方、市場での力も取り戻している。今年に入っては、「ナノ冷蔵庫」、「酸素エアコン」などの新商品を相次いで発表、環境重視の戦略に打って出た。ナノ技術を活用した両扉型冷蔵庫「クラッセ」は人気を呼び、国内冷蔵庫市場のシェアは昨年の10%から一気に15%に高まった。

 特に輸出が好調だ。製品の80%を輸出しているだけに、輸出の好調は業績を大幅にアップさせている。光州の冷蔵庫工場では、今年に入って2-4時間の残業が続いている。注文に追いつかないためで、ここ数年で初めてのことだ。

 経営状態は年を追うごとに改善、赤字も昨年には1450億ウオン(前年7054億ウオン)にまで減らした。そして今年は黒字転換を実現した。これを受けて、会社側はこの5年間賃金を凍結してきたが、今年は7・5%引き上げを約束し、7月末には96年以降、初めて成果給(100%)を支払った。今年の売上目標2兆700億ウオン、純益1000億ウオンを超過達成し、3大家電メーカーの過去の栄光を取り戻す勢いだ。

 ここまでくるには、徹底した透明経営が大きな役割を果たしたとみられる。チーム長は隔月で、工場長は四半期ごとに現場職員に会社の状況を知らせた。社長も7月に3つの工場で全職員を対象に説明会を開くなど情報開示に積極的に取り組んできた。このような経営側の努力も労使和合に結びついたようだ。

 盧武鉉大統領は7月28日に大宇エレクトロニクスの仁川工場を訪れ、役職員らと意見を交わした。盧大統領はこの席で、「われわれはいま、1人当たり国民所得2万㌦を目標にしている。その実現のためには生産現場で世界一の製品をもたねばならない。世界トップテンの会社をどれだけ多く持つかが韓国の経済力を左右する。最高企業と最高製品を持つことが所得2万㌦達成の近道だ」と述べた。

 盧大統領はまた、「大宇エレクトロニクスはまだ世界トップテンの企業ではないが、トップテンに進入する可能性が高いと考えてここにきた。私もそうなるよう最善を尽くす」と激励した。