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2003/02/07

<総合>財界トップ全経連会長にSKの孫吉丞氏

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           孫 吉丞 会長

 財界トップの第28代全国経済人連合会(全経連)会長に孫吉丞(ソン・ギルスン)・SKグループ会長が就任する見通しだ。7日の全経連総会で正式に選出される。全経連会長は大統領と財界を結ぶパートナーの役割があり、特に、今回は盧武鉉・新大統領が就任するだけに、新政権が推し進める経済政策、財閥政策に対して財界の声をどのように集約するのか、大きな関心を集めている。

 会長人事は土壇場まで決着がつかず、最終候補にあがった孫会長が米国、日本出張から戻った5日の時点でやっと目鼻がついた。この日夕方、仁川空港に到着した孫会長は「社会的与件が企業人の1人としての私がしなければならない役割を要求しているのか深思熟考しなればならないだろう」と述べ、従来の固持の立場に変化をうかがわせた。

 親友でもある全経連の孫炳斗副会長は、元老や会長団会議、顧問会議などで孫会長推挙の声が集約されたと説明、積極的な説得工作を行った。また、有力大企業役員からは「財閥改革を掲げている新政権との関係を考慮するとき、オーナー会長よりは専門経営人が財界を代表するのがいろいろといい」との声もあった。こうした中、孫会長ついに、正式に受諾意思を表明したが、受諾条件として、「政府との協力」を特別に強調、財閥改革をめぐる政府と財界の葛藤が解消することが期待されている。また、「国民に愛される全経連」に生まれ変わることもことさらに強調した。

 孫会長は非オーナー会長であり、非オーナー会長が全経連会長に就任するのは、洪在善会長(在任期間66-69年)、劉彰順会長(89-93年)に次いで3人目。

 今回は、当初から強力なオーナー会長待望論が根強くあり、李健熙・サムスングループ会長、具本茂・LGグループ会長、鄭夢九・現代自動車会長が有力候補としてあがっていたが、いずれも固持した。李サムスン会長は、度重なる推挙要請に対して「全経連会長として愛国するよりは、サムスン会長として国家に奉仕する道を選んだ」と伝えられた。孫会長に対しては直接2度電話をかけて受諾を求めたという。


 ◆解説  -新時代、新政権迎え新たな指導力に期待-

 新会長には重い課題がある。まず、内部的に相当数の会員社から全経連が特定財閥の代弁人の役割に終始しているとの批判があり、市民団体など外部からも全経連=財閥利益団体という図式の批判が多く、全経連改造論が提起されている。これにどう対処するのかという問題だ。

 全経連会員社は、昨年末現在で404社。しかし会費の60%以上の4大財閥で分担しており、大財閥の発言権が大きい。企業経営協議会など10の委員会を設け意見集約を図ったり、中堅財閥の緑十字社や豊山を昨年会長団に加えるなどの対策作を講じているが、内部の不満は消え去っていない。市民団体の中からは全経連は財閥の利益の代弁しているとして解体論まで出ている。

 さらに新政権の財閥改革に対して財界の声を集約して対応しなけばならない。集団訴訟制、週休2日制など政府が進めている政策とどう折り合いをつけるかという難問にも直面している。特に、新政権は250万人雇用創出、東北アジア経済の中心国家建設、7%成長など重要な経済政策を打ち出しており、これにどのように協力し提言していくのかという役割もある。事実、振り返ってみれば、これまでの高度成長時代に輸出ドライブ、対外債務節減、中小企業育成など政府政策に協調する中でパートナーとしての財界の役割を果たしてきた。新会長に強力なリーダーシップが求められるゆえんだ。

 1941年生まれの孫会長は、ソウル大商大を卒業、SKグループの母体の1つである鮮京織物に入社後、SKの要職を経ながら非オーナー会長ながら強力なリーダーシップで事業発展を率いてきただけに期待される。