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2004/11/05

<総合>銀行ビッグ5の大競争時代に

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    韓国シティー銀行掲板式。左から2人目が河永求行長(旧韓美銀行本店)

 97年末のIMF危機後に大改編がすすんだ韓国金融界で、国民銀行、新韓銀行、ウリ銀行、ハナ銀行、韓国シティー銀行のビック5による大競争時代が到来した。11月1日、韓美銀行とシティーバンクソウル支店が合併した韓国シティー銀行が発足し、国内最大銀行の国民銀行の新銀行長にシティーバンク出身の姜正元・新銀行長が就任した。また、新韓銀行は2008年リーディングバンク宣言をし、本格的な指導権争いに乗りだした。ウリ銀行はLG証券買収を契機に金融複合戦略を練りだしており、ハナ銀行は持ち株会社化へ向け、大韓投資信託証券の買収に拍車をかけている。今後、し烈な競争の中から新たな変化が生まれることを予告している。

 姜正元・国民銀行長は、1日の就任あいさつで、「銀行の戦争が始まった。今後1、2カ月内に構造調整と組織統合に着手する」と強調した。同行は、旧国民銀行・住宅銀行統合後、労組の反発や職員間の軋轢などで両行の融合に失敗、リストラと組織統廃合を先送りしてきた。姜行長の発言は、厳しい競争の中、これ以上改革を先送りできないというメッセージだ。 

 国民銀行と国内トップ銀行争いをしている新韓銀行の持ち株会社である新韓金融持ち株会社の羅応燦会長は、「2008年までに資産と時価総額で国民銀行を制する」と挑戦状をたたきつけており、待ったなしの状態だった。金正泰行長を退陣させ89年にシティーバンクのニューヨーク本店で銀行マンの道に入った姜行長に将来を託した格好だ。店舗数や経済活動人口を上回る預金者数などで国内1を誇るが、新商品開発など質的改善をどれだけ図れるかが大きな課題だ。

 一方、韓美銀行との合併で1日出帆した韓国シティー銀行は現在の韓国内の市場シェア7%を10%に引き上げることを当面の目標にしている。銀行長には国民銀行の姜行長とシティーバンク時代をともにしたこともある河永求氏が就任。「グローバルシステムが最も完璧に土着に成功した合併銀行になるよう努力する」と強調した。3人の米国人副行長がどんな補佐をするのかも注目点だ。

 韓国シティー銀行は韓美銀行の228店舗を引き継いでいるが、店舗数では他行に劣る。しかし、国際金融市場で強力な資金調達能力をもつシティーの看板と抜群の資産運用ノウハウがあり、低金利時代の資産家獲得競争で相当な脅威になりそうだ。外資系としては、HSBCも数年内にシェアの10%まで引き上げる計画であり、「今後5年間は外資系が入り乱れた戦国時代になるだろう」という見方もある。

 新韓銀行は、朝興銀行との統合を急ぐとともに、優れた人材と商品開発能力を生かし、トップバンクをめざしている。東亜日報が専門家を対象にした調査によると、5年後のリーデングバンク争いで全くの互角であることが分かった。

 ウリ銀行は、持ち株会社のウリ金融持ち株会社が9月にLG証券を吸収し、ウリ証券との年内合併を急いでいる。実現すれば国内最大の証券会社を擁することになり、強力なサービス提供が可能になる。ハナ銀行は現在交渉中の大投証券買収が確定すれば、来年に金融持ち株会社体制に転換し、トータル金融をめざす。

 今回の銀行大競争時代の中では、銀行の店舗数や商品以外に、証券、カード、保険商品などもともに売る金融マーケットとして幅広い顧客層を銀行収益に結びつけることが重要なポイントになりそうだ。不景気と低金利で金融環境は厳しくなる一方だが、競争は逆に厳しさを増しており、どれだけ消費者のニーズにあったサービスを提供できる銀行が勝ち抜くことになろう。