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2004/10/01

<総合>国家財政・来年は初の200兆ウオン突破

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 来年の国家財政規模が史上初めて200兆ウオンを超えた。国務会議で議決、2日の国会に上程される「2005年予算案及び基金運用計画案」によると、一般会計、特別会計と財政支出される基金の総額は208兆ウオンに達し、今年度比6・3%増となった。景気沈滞による税収鈍化に伴い、赤字国債発行を余儀される中、社会福祉関連と国防関連への支出増が目立つ一方、社会間接資本支出は微増にとどまり、産業関連はむしろ減少した。成長より分配に重きをおいた予算案といえる。

 来年度予算案の中で、一般会計規模は131兆5000億ウオンで、今年比9・5%増だ。補正予算を除いた本予算比では11・1%増となる。特別会計は3・2%増の64兆2000億ウオン。国民年金など57の政府基金の運用規模は7・3増の320兆ウオンで、このうち財政活動と直結する事業正規金の支出は7・4%増の25兆3000億ウオンに達する。これらを合計し、重複分を除いた208兆ウオンが来年の国家財政となる。

 予算案を立案した企画予算処では、「成長潜在力を拡充し、生活の質向上と関連した投資を優先した」と説明している。だが、社会福祉予算(今年比14・4%増)や環境予算(13・6%増)、国防予算(9・9%増)は意欲的な編成となっているが、社会間接部門は1・7%増、産業・中小企業部門はマイナス1・6%と成長基盤関連投資が大幅に抑えられており、「とても成長潜在力の拡充予算とはいえない」との批判の声もある。

 社会福祉予算は2002年18・6%増、2003年9・3%増、2004年8・4増と予算全体の増加率を大きく上回ってきた。一度増えたら削るのが困難な硬直性予算であり、社会福祉予算のウエート増大に対応する税制改編も避けられない。

 一方、来年予算もまた赤字編成を余儀なくされた。一般会計基準で来年の税収見込みは124兆8000億ウオン(税外収入3兆7000億ウオン含む)で、今年比6・1%増。成長鈍化で大幅な税収増が見込めないが、支出要求は多く、赤字国債6兆8000億ウオンを発行する。今年の2兆5000億ウオンの3倍近い。韓国は伝統的に一般会計で均衡予算を組んでいたが、最近の赤字国債発行は懸念材料だ。

◆部門別の主な使途◆

 財源不足の中、歳出要求は多い。来年の国家予算はどんな所に使われるのか。部門別の主な内容をみると―。

 分野別で最も多い37兆ウオン(基金含む)が投入される福祉予算のうち、国民年金など社会保険支出に26兆9000億ウオンが使用される。基礎生活保障対象者として政府の支援を受ける人は今年の140万人から146万6000人に増える。また、25兆ウオンを超す教育予算などで、来年から子供2人以上が保育園や幼稚園に通う場合、2人目から月3-6万円を支援する。

 GDP(国内総生産)比2・85%に達した国防予算をみると、早期情報統制機導入など戦力近代化や先端兵器体系開発などに重点投資する。竜山米軍基地移転にも初めて100
0億ウオンを配定。イラク追加派兵による支援予算は1609億ウオン。

 社会間接資本では投資比重を道路から地下鉄や港湾に置き、仁川国際空港拡充に2273億ウオン、釜山新港や光陽港開発に1000億ウオンを配定。産業分野では中小企業の技術開発支援に3047億ウオン、零細商工人支援に5100億ウオンを投入。特に外国人投資企業に対し50億ウオンの現金支援予算を新設した。

 農漁村関連では、農産物輸入開放を控えて10年間に投入する119兆ウオンの投融資財政のうち来年に8兆7000億ウオンを執行する。また補助金性格の予算8478億ウオンも策定。教育予算では理工系支援と国立大学統廃合など大学の構造改革に重点を置いて投資される。地方財政支援には今年比14・5%増の36兆ウオンを配定した。

◆サーカスなど異色事業支援も◆

 民間事業者が進めている常設のサーカス公演場(1200席)に3億ウオンを支援する。世界で初めてES細胞を作り出した黄禹錫ソウル大教授を支援するため265億ウオンを投入してソウル大獣医学部に黄禹錫研究所を設置する。

 このほかに高句麗論争と関連した渤海遺跡発掘事業、脱北青少年教育、在外同胞コールセンター設置などにも予算を配定。