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2004/08/27

<総合>韓日・高い水準のFTAで一致

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        慶州での韓日FTA第5回交渉

 韓日FTA(自由貿易協定)締結へ向けての第5回政府間交渉が23日から3日間、慶州で行われ、包括的で高い水準のFTAをめざすことを再確認した。これは関税障壁をなくすだけでなく、様々な貿易障壁と投資障壁を取り除き、共同市場を志向するものであり、その一環として韓国側は非関税障壁撤廃のための委員会の設置を強く求めた。最近、韓国経済界から対日赤字の拡大や部品産業などの中小企業が打撃を受けると懸念の声が聞かれるだけに、日本市場の閉鎖的慣行の是正を強く迫る必要性もあった。

 今回の交渉では、この間の交渉で交換した協定文草案などをもとに、①商品貿易②サービス・投資③非関税措置④相互認証⑤その他貿易規範⑥協力⑦紛争解決の7つの分野別争点について論議。

 この中で韓国側は非関税措置と政府調達、技術障壁などについて修正文案を日本側に提示、特に非関税障壁撤廃のため権限のある委員会の設置を求めた。これは、非関税障壁に対する問題が発生した場合、6カ月以内に拘束力のある判定を下す権限を付与した委員会のことで、輸入量を制限する輸入割当制や複雑な流通構造、さらに新規に外国企業がなかなか参入できない商慣行などの是正を目的としている。

 水産物の数量制限撤廃で対日輸出は10%ほど増えると韓国側は見ており、例えば、輸入割当制では韓国産海苔のケースが象徴的だ。最近、日本ではごま油と塩で味付けした韓国海苔の需要が増えているが、輸入枠が限られており、日本の業者からも不満の声がある。
 
 非関税障壁は韓国企業がかなり前から不満に感じている点で、「米国や中国に比べ日本市場は制約が多すぎて開拓に本当に骨が折れる」として、最近では日本より中国市場進出に流れる傾向に拍車がかかっている。日本との経済協力を拡大するためにも非関税障壁の撤廃は大事だとの立場だ。

 外交通商部の金鉉宗・新任通商交渉本部長は、「国内大企業の携帯電話の50%ほどが日本製部品だ。付加価値で換算すれば60%にもなる。ハイブリッド車の技術力は日本の34%にすぎない。日本とのFTAは貿易赤字解消よりは、韓国の脆弱な分野で技術の移転を受け、中国より高い技術とノウハウを得る形で推進している。また、石油化学や繊維などの産業は利得の方が多い。300兆ウオンに達する日本政府調達市場にも進出できるようになる。さらにIT(情報技術)の日本進出も期待できる」

 今回の論議を踏まえ、協定案をまとめる作業を本格化する。次回交渉は11月1-3日に日本で。

 中国に対する韓国の直接投資規模が上半期(1-6月)実績で、前年同期比54・4%増の35億2000万㌦を記録、米国と日本を抜き、事実上世界1の対中投資国になった。最近の雪崩を打った韓国企業の対中進出ブームを数字でも裏付けている。韓国貿易協会が中国商務省の統計を分析した資料で分かったもの。韓国より対中投資が多い香港とバージン諸島は、「租税回避地域」の性格が強く、対中投資の大部分が第3国からの投資であったり、中国から流れた資金が再び中国に還流する資金で、韓国が事実上の最大投資国になる。