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2004/08/06

<総合>韓国・ユビキタス革命を宣言

 いつどこからでもコンピューターにアクセスできる「ユビキタス時代」が到来した。IT先進各国は、このユビキタス産業で成功する国家が今後の世界経済をリードすると判断、早くも主導権争いに動いている。韓国政府も、「ユビキタス産業は10年後の韓国の産業を引っ張る原動力」になるとして、「知能基盤社会uーコリア」構築を宣言、情報通信部を中心に本格的に取り組み出した。

 「ユビキタス」はまだ聞き慣れない言葉だが、半導体や通信、ソフトウエアなど各分野で蓄積された先端技術が標準化され、コストダウンが進む中で、知らない間に安くて手軽に先端技術の恩恵を享受できる流れをいう。

 すでに、コンピューターの大きさが指の爪より小さくなり、電話機や本、さらには牛乳パックなどの生活用品の中にも浸透している。物品の中に内蔵されたチップがインターネットや移動通信網に接続、人にとって代わって働いてくれる。

 これまでの産業化過程では製造技術でリードした国家が繁栄した。現在のインターネット時代は、コンピューターか通信のどちらかで秀でていれば一流になれた。だが、ユビキタス時代ではコンピューターと通信の両方に強い国家と企業だけが一流になれる。韓国は超高速ネット網と携帯電話の製造で世界的な競争力を備えており、このようなeーコリア革命で蓄積した力を武器にユビキタス革命の先陣を切るべく、戦略づくりに取り組んでいる。

 情報通信部ではすでに先端IT産業育成のため、ユビキスタITベルトを2010年までに構築する計画を明らかにしている。全国主要IT生産・研究拠点をユビキスタ産業を中心に統合運営しようというものだ。

 計画によると、ソウル上岩洞のデジタルセンターをはじめ、仁川市・松島、京畿道・坡州、忠清南道・湯井、慶尚北道・亀尾、忠清南道・大徳など全国に散在している主要産業団地がRFID(電子タグ技術)など先端産業育成に適合するように高級研究人材を拡充し、核心部品・素材産業を育成する。ユビキタスが可能になるためには、すべての製品に電子タグが入り、製品が通信網で連結されなければならない。この分野での研究開発でも韓国はトップをめざす考えだ。

 陳大済・情報通信部長官は、ユビキタス時代の青写真と関連、「中国が韓国を追い上げており、10年後に何を食べてどう生きるのかを考えておくべきだ」と指摘、「国内IT産業のクラスターを再整備するユビキタスITベルト」の構築に集中すると強調した。

 「すべての産業団地が米国のシリコンバレーのようになるのは無理だが、地域の特性を生かしながら、共有インフラを活用する」と力説。「ユビキタス戦力を通じた第2の跳躍」が始まった。

◆ ユビキタス

 ユビキタス (Ubiquitous) ラテン語で「いたるところにある」という意味。転じて「神はいつどこにも存在する」の意に。現在ではインターネットをはじめとする情報ネットワークに「いつでもどこからでも」アクセスできる環境を指す。

 IT用語として使用されたのは、1991年、米国のマーク・ワイザー博士が「技術が背景に消える」と主張し、ユビキタス・コンピューティングという言葉を使ってからだ。ワイザー博士は当時、専門誌への寄稿論文(21世紀のためのコンピューター)で、「複雑なコンピューターが未来には小型化されてモノの中に入り込み、人々がコンピューターの存在を全く意識しないようになる」と予言した。

 また、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は2002年にエコノミスト誌への寄稿(消えるコンピューター)で、「2010年頃、私たちは数多くのコンピューターに囲まれるだろうが、私たちはそれを意識することはないだろう」と推測した。いわゆる目に見えないコンピューター時代の到来を予言したものだ。