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2006/11/17

<総合>財閥の出資規制緩和・論戦1年政府決着

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 大企業集団の支配構造をめぐり論議を呼んでいた出資総額制限制度の存廃問題に決着がついた。公正取引委員会は15日、政府の改編案を発表、出資規制対象を資産10兆ウォン以上のグループに属する資産2兆ウォン以上の大企業に縮小すると明らかにした。結局、制度自体は存続させるが、規制対象を減らし緩和する形で落ち着いた。公取委は、出資総額制限制度を緩和する代わり、「環状型循環出資禁止制度」を導入して、持株会社制へと移行させることで支配構造を改編させる計画だった。だが、同制度の導入に財界が強く反発、政府部内からの反対もあり失敗した。

 出資総額制限制度をめぐっては財界から「投資効果が損なわれている」と廃止要求が強く噴出していた。政府内でも賛否が分かれた。権五奎・副総理兼財政経済部長官、権五乗・公正取引委員会委員長、丁世均・産業資源部長官らが参加し青瓦台(大統領府)で開かれた14日の関係長官会議で妥協が図られ、やっと今回の発表となった。

 現行制度では、「資産6兆ウォン以上の大企業集団に属するすべての系列企業」を対象に、純資産の25%を超えて別の企業の株式を保有できないようになっている。今回これを「10兆ウォン以上の大企業集団に属する2兆ウォン以上の系列企業」に対象を縮小した。また、出資額も純資産の40%まで可能にした。これにより、適用対象は、14グループ343社から7グループ24社に大幅縮小される。

 その顔ぶれをみると、サムスン電子、現代自動車、SK(株)、ロッテショッピング、GS建設、ハンファ、錦湖タイヤなど各グループの中核企業だ。今度の改編はいわば「中核企業出資総額制限制」の施行といえる。

 財界は、「制度が緩和されたからといって、実質的な企業の投資拡大に結びつくのは困難だ。仮に制度が廃止され、その24社が規制対象外になれば、14兆ウォンの追加投資が可能だった」と見ている。24社は、大規模投資の余力がある有力企業揃いだ。

 企業政策の主務部署である産業資源部関係者は、「出資総額制限制度を廃止し、事後的規制に転換するのが最善だが、公取委が主張してきた新制度を白紙化するという点で次善の策だった」と語った。ただし、公取委は財閥自らが循環出資を解消するよう誘導する制度を整える考えであり、財閥規制をめぐる政策論争は今後も水面下で続きそうだ。