ここから本文です

2006/04/28

<総合>新万金干拓・世界最長33㌔の防潮堤完成

  • sogo_060428.jpg

 韓国西海岸に位置する全羅北道・群山郡と扶安郡の内海を結ぶ33㌔㍍に達する世界最長の新万金防潮堤が完成した。1991年11月の工事開始から15年半ぶりの築造成功だ。防潮堤完成で、ソウル市の3分の2、ソウル汝矣島の140倍に当たる4万100平方㌶の海が堰き止められ、2012年までに2万8300㌶の干拓地と1万1800㌶の淡水湖が誕生する。国土拡張に伴う経済効果は年間1兆ウォンを超えると試算されている。

 韓国西海岸の地図を変える今回の大干拓事業は紆余曲折を経てきた。水質悪化と干潟流失などを問題視した環境団体との4年7カ月に及ぶ法廷闘争の結果、大法院が3月に工事再開判決を出したことで、残りの工事を再開した。

 残りは2区間。新侍島の1・1㌔区間の未連結部門71㍍には15㌧ダンプ1800台分の土砂と石塊を投入して10時間で連結に成功した。最後に残った可カ島区間1・6㌔の未連結50㍍の工事も21日に終え、33㌔区間すべての築造工事が完了した。この間、延べ189万人と重装備82万台が動員され、浚渫土砂と岩石など9410万立方㍍が投入された。防潮堤の高さは平均36㍍に達する。

 築造工事費は総額2兆1200億ウォン。海流の早さが秒速7㍍に達する海域もあり、土木工事史上でも例を見ない難工事だった。陣頭指揮をした安鍾云・韓国農村公社社長は、「衛星追跡システム(GPS)と超音波流速測定器を使って流速と海底の状態を細心にチェックした」と述べ、「韓国干拓技術を世界に知らせる契機になった」と胸を張った。

 だが、これから追加工事が目白押しだ。新万金事業団は、防潮堤の上に4車線舗装道路を建設し、2008年初から運行できるようにする。群山―扶余間は、この防潮堤を通れば従来より66㌔ほど短縮、1時間余で行き来できるという。

 干拓地の水抜きなど内部造成事業は来年から開始、2011年までに終える計画だ。翌年からは新国土の下で農業生産などの生産活動が本格化することになる。政府は、環境基礎施設と畜産糞尿処理など水質改善対策を推進するため、学界、環境団体からなる新万金環境対策委員会を構成する。また、国土研究院に新万金干拓地の用途について用役依頼し、農業以外の多目的な活用方法を探る。

 新万金環境影響評価団が推定した新万金事業の経済的価値は年間1兆3000億ウォンにのぼる。干拓地造成に伴う農水産物の増産規模が1300億ウォン、国土拡張による経済的工かが7265億ウォンに達し、流域の洪水被害防止、観光・交通短縮効果などが期待できるという。

 狭い国土の韓国では、これまで瑞山などで大規模な干拓事業が進められてきたが、今回の新万金はその中でも巨大さで群を抜く。特に、防潮堤の長さで、干拓で有名なオランダの防潮堤(32・5㌔)を抜き世界最長の記録も打ち立てた。今後、環境に配慮しながら新たに誕生する広大な国土を有効活用することが大きな課題だ。