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2006/07/07

<総合>ルノー・日産、GMと提携 世界展開する現代自に打撃

 世界第4位の自動車グループ、仏ルノーと日産自動車が経営難に悩む業界トップのゼネラル・モーターズ(GM)の株式20%を取得する資本提携が本格的に動き出した。これが実現すれば世界自動車業界に地殻変動をもたらすのは必至で、世界展開している現代自動車にとっても大きな衝撃だ。

 この提携説を耳にした自動車メーカーが緊張するのは、地殻変動の結果がどのような形であれ自分たちに影響を与えると予想されるためだ。特に今回の資本提携のアイデアは、GMが深刻な経営危機を迎えている状況で飛び出したため、実現される可能性が高い。

 すでにルノーと日産自動車は3日、それぞれ取締役会を開き、GMから具体的提案があり次第、提携に向けた協議を始めることに合意している。GMは7日に取締役会を開き、提携提案を判断する予定だ。

 GM、ルノー・日産3社の提携は、年産1500万台を超す巨大自動車グループの誕生にほかならない。世界トップを目前に控えたトヨタはもちろん、グローバル企業に向け歩み始めた現代自動車にも、大きな打撃になると予想されている。

 資本提携の主人公は、倒産の危機にあった日産を復活させ有名になったカルロス・ゴーン氏(ルノーと日産自動車社長を兼任)だ。ゴーン氏は今年5月4日、グループの年次定例会議で「この先、企業の買収・合併(M&A)もあり得る」とコメントしていた。

 一方、今回の提携話の発信源は、「カジノ王」「M&Aハンター」と呼ばれる大富豪、カーク・カーコリアン氏(89)。同氏率いる投資会社、トラシンダは9・9%のGM株を保有する最大株主で、GMのリチャード・ワゴナー会長に書簡を送り、ルノー・日産と提携関係を結ぶよう促した。GM側は「この提案について慎重に検討する」と話している。これら3社の提携が成立すれば、米国、ヨーロッパ、アジアの3地域のメーカー間に巨大な自動車連合が形成され、米国市場で活躍するトヨタや現代自動車を大きく圧迫する可能性が高い、と専門家たちは分析している。

 カーコリアン氏は、先月、ゴーン社長と米テネシー州ナッシュビルのあるレストランで夕食を共にし、ルノーと日産がGM株をそれぞれ10%取得することについて話し合った。ゴーン社長はこの問題について、GMのリック・ワゴナー会長と話し合いを持ったという。

 GM側が受けるかどうかは未知数であり、ルノー・日産側にとっても、心配がないわけではない。GB株20%取得には40億㌦近くかかる見込みで、合併効果がなかった場合、財務構造悪化を余儀なくされるからだ。

 今回の資本提携が成功すれば、世界の自動車業界の勢力地図に大きな変化をもたらす。

 グローバル展開する3社提携で、技術や部品供給、販売網の共有を通じたコストダウンが可能となり、米国やヨーロッパ、アジア向けにカスタマイズされた車を共同開発し、同時に販売できる。特にGMは、急成長する中国市場でトップを走る上海汽車工業総公司グループと資本提携しており、北京現代や広州トヨタなどライバル企業の追撃をかわし易くなる。

 現代・起亜自動車は、米国やヨーロッパ、中国などの海外市場はもちろん、国内市場でも大きな打撃を受ける可能性がある。GM系列のGM大宇、ルノー系列のルノー・サムスン、上海汽車系列の双竜自動車に挟撃されることになる。現在75%を誇る国内市場シェアを引き続き維持するのは厳しくなる。

 韓国政府が大宇自動車、サムスン自動車、双竜自動車を売却した当時は、これらを買収したGM、ルノー、上海汽車がお互い提携に踏み切ることなど想像もできなかった。わずか3、4年で世界市場急変だ。

 韓国証券市場のアナリストたちは、「現代自動車は過去にダイムラー・クライスラーとの資本提携を打ち切ったため、今回のGMとルノー・日産との提携で一層大きな打撃を受けることになった。新たなグローバル自動車メーカーとの提携を考慮する必要がある」「今後は規模の戦いだけに執着することはできない。品質と技術力、それにブランド力を強めなければならない」と分析している。