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2006/02/03

<総合>韓米FTA交渉開始へ

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    韓米FTAの障害だったスクリーンクオータ制が縮小される。写真は縮小反対し会見する安聖基氏

韓米間のFTA(自由貿易協定)交渉が近く始まる見通しだ。米国産牛肉の輸入再開、韓国映画の義務上映日程数を定めたスクリーンクオータ制の縮小が決まり、障害が取り除かれたことで、早ければ今週末にも交渉開始が宣言される。韓米間の貿易は年間700億㌦に達しており、韓国にとっては最大のFTA交渉となる。米国にとってもカナダ・メキシコと結んだ北米自由貿易協定以来の大型交渉だ。来年3月末の妥結をめざす構えだが、両国の産業界にはともに反対意見が強くあり、予断は許されない。

 今回の対米FTAについて、韓国政府は極めて意欲的だ。盧武鉉大統領が新年の記者会見で「米国とのFTA交渉は韓国政府の最優先課題の一つ」と表明し、韓悳洙副総理兼財政経済部長官はハリウッド映画の上映回数を必然的に増やすスクリーンクオータ制の縮小を早々と打ち出した。

 外交通商部主催で2日開かれた韓米FTA公聴会では、対米FTA締結で対米輸出は12・1―15・1%増え、韓国のGDP(国内総生産)は0・42―1・99%増加すると分析された。

 韓国にとっての対米FTA効果は工業製品で大きい。特に競争力がある自動車や電子製品、繊維類の対米輸出を大幅に増やせる。韓国貿易協会のFTA研究チームでは「自動車関税が廃止されれば輸出は増えるが、米国車の輸入はそれほど増えないだろう」とみている。繊維類の場合は、現在10%を超える関税が賦課されている546品目が無税になれば、対米輸出が急増するのは確実だ。また、米市場で繰り広げている日本や台湾との競争で優位に立てる。

 一方、米国にとっては、強みの農産物の対韓輸出を増やし、サービス貿易を拡大できる利点がある。また、日本やEU(欧州連合)諸国に先立ってFTA相手国に韓国を選んだのは、「韓米関係を強化し、東アジアに対する影響力を高めるとの政治的戦略がある」との指摘もある。

 だが、韓米双方にアキレス腱がある。韓国側にとっては農業とサービス業の市場開放の影響だ。対外経済研究院の試算によれば、コメを開放対象から除外しても2兆ウォンの農業生産減少は避けられない。また、教育、医療、法律、会計などのサービス業も農業に劣らず韓国業界にとっては脅威だ。これに加えて映画業界の反発も尋常でない。米国側でも自動車業界などで反発が予想されているが、経済規模からみても、その影響は韓国側で大きい。今後、農業やサービスなどの争点分やでの交渉が鍵になりそうだ。