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2007/10/05

<総合>平和と繁栄へ首脳対話を「定例化」

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    南北共同宣言署名後、手をとりあい高く上げる盧武鉉大統領㊧と金正日総書記

 盧武鉉大統領と金正日総書記は4日午後1時、平壌市内の百花園迎賓館で、「南北関係発展と平和繁栄へ向けた宣言」に署名した。合意事項は8項目からなり、①南北首脳が随時会い懸案を協議する②韓国戦争の終戦宣言へ向けた関係当事国会議を開催する③西海(黄海)平和協力特別地帯を設置する④11月中に国防長官会談を開催する⑤京義線のムンサン―開城間で貨物鉄道を開通させる――などの内容を盛っている。事実上の南北頂上会談の定例化に合意したことで、南北間対話が活発化し、制度的にも韓半島平和へ向けての大きな前進が期待できそうだ。

 共同宣言の8項目は要旨は次の通り。

 ①南北は6・15共同宣言を固守し、積極具現させる。

 ②南北は思想と制度の差を超えて、相互尊重と信頼関係で南北関係を確固と転換していく。

 南北は南北関係を統一志向的に発展させるために、それぞれ法律的、制度的装置を整備し、双方の議会など各分野の対話と接触を積極推進していく。

 ③南北は軍事的敵対関係を終息させ、韓半島の緊張緩和と平和を保障するため、緊密に協力する。南北は軍事的信頼構築の措置を協議するために南側の国防部長官と北側の人民武力部長官間の会談を今年11月中に平壌で開催する。

 ④南北は現・停戦状態を終息させ、恒久的な平和体勢を構築していかなければならない。韓国戦争に直接関連する3者または4者の首脳らが韓半島地域で会合して終戦を宣言するために協力していく。

 ⑤南北は海州地域と周辺海域を包括する「西海平和協力特別地帯」を設置し、共同漁労区域と平和水域の設定、経済特区の建設と海州港の活用、民間船舶の海州直航路の通過、漢江河口の共同利用などを推進していく。

 南北は開城工業地区の第1段階建設を早期完工し、第2段階の開発に着手してムンサン-開城間の鉄道貨物輸送を開始する。南北は安邊と南浦に朝鮮協力団地を建設する。

 南北は南北経済協力事業を円滑に推進するため、現在の「南北経済協力推進委員会」を副総理級の「南北経済協力共同委員会」に格上げする。

 ⑥南北は白頭山観光を実施するため、白頭山-ソウルの直航路を開設する。南北は2008年の北京オリンピックで、南北応援団が京義線の列車を初めて利用して参加する。

 ⑦南北は離散家族・親戚の再会を拡大し、映像レター交換事業を推進する。金剛山面会所の完工に伴って双方の代表を上奏し、離散家族・親戚の再会を常時進行する。
 
 ⑧南北は国際舞台で民族の利益と海外同胞の権利と利益のための協力を強化していく。

 
 盧武鉉大統領一行総勢300人。2泊3日の平壌滞在をドキュメントで追ってみた。

 盧大統領夫妻は2日午前9時6分、専用車から降り、南北を隔てる軍事境界線を徒歩で越えた。南北分断以降、韓国の大統領が陸路で北朝鮮入りした瞬間だった。

 盧大統領は、「この歩みが禁断の壁を崩し、民族の苦痛を解消し平和と繁栄の道へと進む契機となるよう努力する」と感無量に語った。

 同日昼前に平壌に到着、歓迎式典会場の「4・25文化会館」に到着、待ち受けていた金正日総書記と握手を交わした。

 午後には金常任委員長と会談。歓迎夕食会は平壌の木蓮館で開かれたが、金総書記は顔を見せなかった。

 翌3日は金総書記委との間で午前と午後の2回、計3時間51分会談した。韓国側は、権五奎・副総理兼財政経済部長官、金万福・国家情報院長、李在禎・統一部長官が陪席したが、北朝鮮側は、統一戦線部部長だけだった。

 金正日総書記は、ほとんど言葉を交わさなかった前日とはうって変わり、快活で余裕たっぷりに接した。午後の会談の冒頭、金総書記は、平壌滞在を1日延ばしてはどうかと提案。これに対して盧大統領は即答を避けた。会談終了後に、金総書記は「十分に話せた」として、前言を撤回。

 夜には平壌のマスゲーム「アリラン」を鑑賞したが、金総書記は姿をみせなかった。韓国政府主催の晩餐会にも金総書記の姿はなかった。

 4日は南北共同宣言を発表、歓送昼食会後に盧大統領一行は開城工業団地を視察し、ソウルに戻った。