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2008/09/05

<総合>政府が税制改編案発表・5年間に21兆3000億ウォン減税

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 李明博政権は、物価高の中の凍てついた景気沈滞に対処、個人消費と企業の設備促進を図るため、所得税、法人税、相続・贈与税、譲渡所得税、総合不動産税などの減税と広範な税額控除を通じ、5年間で21兆3000億ウォンにのぼる空前の大減税に踏み切った。企画財政部が1日、そのような大幅減税を盛った2008年税制改編案を政府・与党協議会と税制発展審議委員会の協議を経て発表した。開会中の国会に16の関連税法改正案を提出、来年からの施行をめざす。

 今回の税制改編案は、原油高対策として既に実施しているガソリン税の払い戻し効果を含めると減税効果が26兆ウォン規模に達し、「史上最大規模の減税」をされている。

 特に法人税は、5年間で9兆8000億ウォンの減税効果が期待され、経済界からは「企業の活力回復に助けになる」と歓迎の声が聞かれる。

 現行の法人税率は、課税標準1億ウォン以下で13%、1億ウォン超過で25%となっている。改編案では課税標準を引き上げ、2億ウォン以下は08年帰属分を11%、10年帰属分を10%へと2年間で3ポイント引き下げる。2億ウォン超過分は09年帰属分から22%、10年帰属分を20%へと3-5%に引き下げる。2億ウォン超過の税率引き下げを1年遅らせたのは大企業優遇批判を考慮したためだ。課税標準の調整で全法人の90%(約32万社)が低い方の税率を適用されることになる。

 税率引き下げと共にR&D(研究開発)投資準備金制度の復活(売上高の3%までを経費として認定する方針)や環境投資の税額控除拡大などの減税で投資促進を図る。

 所得税の減税効果は5兆8000億ウォンにのぼる。総合所得税率を、所得階層別に現行の8~35%から6~33%に引き下げる。これにより、所得が1200万ウォン以下の場合は10年から6%の最低税率を適用される。また、所得税の基本控除は1人当たり50万ウォン引き上げ、150万ウォンとなる。教育費控除限度額も100万ウォン引き上げられる。税率引き下げと控除拡大で、年間の給与合計が6000万ウォンの4人家族の場合、所得税は現行の474万ウォンから10年には385万ウォンに軽減される。

 今回は相続・贈与税と譲渡所得税にも大幅な手を加えたのが特徴だ。相続・贈与税率は、現行の10~50%を2年かけて所得税率と同じ6~33%に引き下げる。最高で67%の大幅減税だ。中小企業の家業相続控除限度は現行の30億ウォンから100億ウォンに引き上げられ、15億ウォン以下の住宅1戸を相続した場合、相続税がかからない相続控除制度も新設される。譲渡所得税は、1世帯1住宅者が引っ越しなどで譲渡する際の課税基準を現行の「6億ウォン超過分」から「9億ウォン超過分」に引き上げ、税率は9~36%から9~33%に引下げる。ただし、1住宅保有の非課税条件は首都圏で3年間保有・3年居住に強化される。また長期保有特別控除制度も改善、10年間保有(現行20年)で譲渡差益から最大80%の控除を受けられるようになる。

 姜万洙・企画財政部長官は、「住宅1戸を長期にわたり保有する場合は投機ではないと見て課税を緩和するが、居住条件はより厳格にし、実需要者中心の支援をめざした」と説明した。

 総合不動産税は、毎年10ポイントずつ上がってきた課税標準適用率を昨年水準(公示価格の80%)で凍結する。企画財政部は早ければ今月末にも総合不動産税に関する具体的改編案と住宅供給拡大案を策定する計画だ。譲渡税と不動産税を緩和することで、萎縮した不動産取引の活性化を図る。

 このほか、交通エネルギー環境税を個別消費税に統合、教育税と農漁村特別税は本税に吸収統合するなど、3大目的税も整備した。西洋画や骨董品などの譲渡差益課税を推進するほか、34の非課税減免制度のうち半分は縮小または廃止とする。

 今回の改編案で、租税負担率は昨年の22・7%から来年には22・3%水準に下がる見通しだ。

 政府は、今回の減税案が成功すれば、さる10年間に2%にすぎなかった消費と投資増加率が5年以内に消費が6%、投資は12%に回復し、経済成長率を0・6ポイント押し上げ、18万人の雇用創出効果があると見ている。