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2008/10/03

<総合>ロシア産天然ガス導入・北朝鮮経由でパイプライン建設

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    首脳会談前に握手する李明博大統領(右)メドベージェフ大統領

 ロシアを公式訪問中の李明博大統領とメドべージェフ大統領は29日、モスクワのクレムリンで首脳会談を行い、両国関係を「戦略的協力パートナー関係」に格上げすることに合意した。また、2015年から45年まで年間750万㌧のロシア産天然ガスを導入するため、ウラジオストクから北朝鮮を経由して韓国に連結するパイプライン建設にも合意。経済的協力分野は、資源・エネルギーから小型衛星発射体開発など宇宙分野へと広範囲にわたる。韓ロ関係は今回の首脳会談を契機に協力関係を飛躍的に拡大することになりそうだ。

 韓ロ両国は、1992年の修好以来、経済分野に焦点を合わせた協力関係を構築し、両国間の貿易高は151億㌦(輸出81億㌦、輸入70億㌦)に増大した。今回の関係格上げにより、今後は政治外交・安保・国防を含む全分野で交流が広がる見通しだ。外交当局間の第1次官級戦略対話を開催して具体化していくことになる。

 また、修好20周年を迎える2010年をそれぞれ「韓国の年」「ロシアの年」に定め、記念行事を共同開催することを決めた。ビザ発給の簡素化措置なども講じる。

 今回の首脳会談では特に、資源・エネルギー関係の協力強化で数多くの合意をみた。中でも、ロシア産天然ガス導入のため、北朝鮮経由のパイプライン敷設プロジェクトが注目を引く。国営の韓国ガス公社とガスプロムが了解覚書を締結し、具体的に推進することになった。第三国でのエネルギープロジェクト共同推進も決めた。さらに、極東シベリア地域の共同開発に対する韓国企業の参入に向け、韓ロ経済科学技術共同委員会で協議することになった。

 また、韓国はロシアのWTO(世界貿易機関)加入を支持し、ロシアは地下資源に対する韓国の公開入札への参加、石油・ガス科学団地の建設とロシア極東地域の液化ガス基地建設参加を歓迎した。李大統領は、ロシア産のガス・鉱物資源などの効率的な輸送に向け、ウラジオストク周辺に港湾開発用地をロシア側が提供すれば韓国が開発を行うとの考えを伝え、好意的な反応を得た。また李大統領は、半分に減った北洋のタラ漁獲割り当て量を過去水準の4万㌧に戻すことを求めた。

 一方、メドベージェフ大統領は韓国側に自動車合弁生産の推進を提案した。李大統領は会談で、相生共栄の南北関係発展に向けた韓国の努力を説明し、北朝鮮核事態の解決に向けた6カ国協議でのロシアの建設的な役割を支持した。メドベージェフ大統領は、南北対話は朝鮮半島平和と安定における重要な要素だと強調した。

 このほか①両国首脳間の相互訪問と緊密な交流②先端技術分野と極地研究を含む科学・技術分野協力強化と大規模プロジェクト推進③韓国の小型衛星発射体開発をはじめとする両国間宇宙分野協力の拡大④文化・学術・青少年・スポーツ分野での交流拡大⑤ロシアの国際ウラン濃縮センター構想に対する協力模索⑥韓半島縦断鉄道とシベリア横断鉄道連結事業の推進⑦知的財産権の保護推進などにも合意した。

 李大統領は会談後の記者会見で、「ロシアの天然ガスをパイプラインで韓半島に供給するほか、韓国の鉄道とシベリア鉄道を連結し、極東ロシア港湾開発などを推進することとなった」と述べた。

 一方、メドベージェフ大統領は、韓半島縦断鉄道とシベリア横断鉄道の連結など共同事業を進めることに関心を持っていると述べたほか、「南北間の政治、経済、人道的接触が継続することを望む。特に2007年の南北頂上会談で合意した通りになることを願っている」と強調した。