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2008/09/19

<総合>リーマン経営破綻・韓国金融市場も痛打

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    大暴落した韓国株式市場、総合株価指数(左)は1400を割り、コスダックも大幅安となった

 世界の金融市場に衝撃が走った。産業銀行が買収を検討したこともある米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻し、韓国投資公社(KIC)が20億㌦出資しているメリルリンチがバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)に救済買収されることになった。米国の金融危機はリーマンの経営破綻やメリルリンチの買収などで米金融市場が危機に直面し、韓国でも株価やウォン相場が急落するなど16日の金融市場はパニック状態に陥った。しかし、経営不安が広がったAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)は公的資金の注入でからくも破綻を免れることになり、翌17日は株価、ウオン相場とも反騰する急展開をみせた。だが、サブプライム問題に端を発した米金融危機は始まったばかりだとの見方が強く、予断は許されない。投資者を保護するため、緊急会議を開くなど緊迫した動きを見せていた政府は、金融市場の動向を鋭意注視し、対応を強める構えだ。

 秋夕(旧盆)明けの16日、ソウル株式市場は米株式市場暴落のあおりを受け、ほぼ全面安の展開となり、総合株価指数は前営業日比90・17ポイント安の1387・75で引けた。通貨危機以来の下げ幅(6%超)で、1日で45兆7974億ウォンの時価総額が消え去った計算になる。コスダック市場との合計では51兆ウォンを超す。

 また、ソウル外国為替市場では、株を売った外国人らの送金需要が集中しウォン安ドル高が急激に進んだ。ウォン終値は、前営業日の12日に比べ、1㌦当たり50・90ウォン切り上がり、1160ウォン台に急落した。過去10年で最大の下げ幅だ。

 金融委員会は同日、緊急会議を開き、リーマン・ブラザーズ・バンクハウスのソウル支店とリーマン・ブラザーズ・インターナショナル証券のソウル支店に対する預金取り扱いや債務返済行為などを禁じる営業停止措置を取った。リーマン・ブラザーズ・バンクハウスのソウル支店は今年2月に設立、企業金融、デリバティブ商品取引などの投資金融業務を行っている。7月末現在の総資産は1兆6219億ウォン、自己資本は510億ウォン。リーマン・ブラザーズ・インターナショナル証券のソウル支店は01年12月に設立、総合証券業や先物取引業などを行っている。総資産は1兆8000億ウォン、自己資本は4075億ウォン。

 破綻による、韓国への影響は少なくない。韓国金融機関のリーマン・ブラザーズへの投・融資規模は総額7億2000万㌦に達する。内訳は銀行1億2000万㌦、保険2億1000万㌦、証券3億9000万㌦。かなりの損害が避けられなくなっている。また、リーマンが国内に保有している債権の回収に動けば、融資を受けている中小企業などで影響が懸念される。

 産業銀行は経営危機が囁かれていた今年8月、リーマンのニューヨーク本社を訪れるなど買収を検討したが、「リスクが大きすぎる」との政府内の慎重論を受け断念した経緯がある。振り返って見ると幸いだったが、これに対しては「買収交渉自体が問題だ。米金融市場の厳しい現状を正確に把握しているのか」と批判の声が上がった。

 また、メリルリンチについては、韓国投資公社が今年1月に20億㌦を投資している以外に、国内金融機関が7億2000万㌦を投資している。損額が生じるかどうか判明していないが、無傷とはいきそうもない。

 政府は対応に追われた。姜万洙・企画財政部長官、李成太・韓国銀行総裁、朴炳元・経済首席秘書官らは国内金融市場の安定策について集中的に話し合った。その結果、リーマンの破綻を受け短期的に投資心理が萎縮するが、国内為替市場の流動性に揺らぎはないとの立場をとった。

 韓昇洙・国務総理は17日の閣議で、「米金融市場が非常に不安になり、短期的に韓国市場にも影響は避けられない」として、「関係部署は協力して一貫性のあるメッセージを市場に伝え、迅速かつ適切に対処してほしい」と求めている。

 専門家たちは、「『100年に1度あるかないかの金融危機』(グリーンスパン前FRB議長)という指摘もある。安易な対処は決して許されない。根本的で安定的な対策を徹底すべきだ」と警告している。