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2009/03/27

<総合>韓国・EU、世界最大のFTA実現へ

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    FTA交渉結果を発表する李恵民・韓国首席代表㊨とガルシア・ベルセロEU首席代表

 韓国とEU(欧州連合)間のFTA(自由貿易協定)交渉が24日、事実上妥結した。韓国の李恵民首席代表、EUのガルシア・ベルセロ首席代表をはじめとする双方代表団は23日から2日間、ソウルで最後の公式交渉となる第8回交渉を行い、主要争点に合意、一部例外を除き自動車など工業製品の関税を5年以内に全廃することになった。一部農産物や関税払い戻しなど残った争点は来月2日英国のロンドンで開かれる第2回G20(主要20カ国・地域)首脳会議に合わせて長官級会談を開き最終妥結、同首脳会議で妥結を公式宣言する方針だ。

 EUとのFTA交渉は2007年5月から始まり、2年近くに及びやっと妥結にこぎつけた。韓国・EU間のFTAが締結され、国内批准を経て予定通り来春に発効すれば、米国・カナダ・メキシコからなるNAFTA(北米自由貿易協定のGDP(国内総生産〉16兆3000億㌦を上回る世界最大の韓国・EU経済圏(GDP17兆8700億㌦)が形成される。韓国の対EU貿易黒字は昨年192億㌦を記録、対米黒字(85億㌦)の2倍以上であり、対中貿易黒字190億㌦に匹敵するお得意先だ。

 今回の交渉団の妥結内容によると、工業製品に対する輸入関税を品目により①即時撤廃②3年内③5年内④7年内の4段階に分けて実施する。早期撤廃(即時+3年内)比率は、韓国96%、EU99%で、韓米FTAの韓国96・2%、米国91・4%より開放度は高い。

 双方は、5年内に関税を全廃するが、韓国側要求により40余品目については撤廃時期を例外的に7年まで延長する。
 
 最大の関心品目だった自動車の解放時期は妥協が図られた。韓国側は即時撤廃を求め、EU側は7年内の撤廃を譲らなかった。結局、双方が歩み寄り、1500cc超の中大型乗用車は3年、150cc以下の小型自動車は5年内に撤廃することになった。「EUの自動車関税率は10%であり、米国の2・5%よりはるかに高い点を考慮に入れると、即時撤廃以上の成果」と外交通商部関係者は評価した。ちなみに韓国の自動車関税率は8%に達する。

 自動車部品に関しては、双方が協定発効と同時に即時撤廃する。関税率8~13の衣類も即時撤廃品目だ。また、かばん(関税率8%)、靴(同13%)などの雑貨は3年に開放され、欧州の有名ブランドの輸入増が見込まれる。EU側は関税率14%のカラーテレビを5年内に、韓国側はベアリング、基礎化粧品などを5年内にそれぞれ関税を撤廃する。7年内撤廃が認められた40余品目は、関税率が16%に達するその他機械類、純毛織物など。

 農水産物をみると、現在15%のEU産ワイン関税が即時撤廃される。EU産豚肉に対する関税は、冷蔵肉全体と冷凍肉のうちバラ肉は10年以内に、冷凍肉のその他の部位は5年以内にそれぞれ関税をなくすことにした。だが、韓国のコメ市場はFTAが締結されても開放されないことになった。

 外交通商部は、交渉結果について「ほぼすべての争点で交渉団レベルで暫定的に合意した」と明らかにした。ただし、関税払い戻し、一部原産地関連争点、農産物などについては、今回の交渉では合意できなかった。韓国政府はFTA交渉初期から、関税払い戻し問題は決して譲れないとの姿勢を示していた。これに対しEU側も、主要国とのFTAでこの問題を譲歩したことはないとしており、対立してきた。

 関税払い戻しとは、海外で原資材や部品を輸入して完成品をつくり輸出する比率が高い韓国が、輸出目的の原資材や部品輸入に対する関税を払い戻す制度をいう。外交通商部関係者は、「これはWTOでも認められており、欧州市場で競合する日本や中国もこの制度を維持している」と説明している。

 李首席代表は、「残る争点の最終妥結については通商担当相会談で決定される」と語った。一方、ベルセロ代表は「関税還付と原産地基準が最も大きな問題」だと指摘。歩み寄れなかったものはほかにもいくつかあり、これらの見解の違いは大きいため、通商担当相が協議することが有効だと述べた。

 対外経済政策研究院は、EUとのFTAが締結されれば、長期的に韓国のGDPが、最大3・08ポイント(24兆ウオン)増えると展望した。