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2009/01/23

<総合>金融通の「危機対処チーム」構成

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    長・次官に任命状を渡した後、懇談会場に向かう李明博大統領(左から3人目)と権泰信・国務総理室長(左端)、尹鎮植・経済首席秘書官(左から2人目)、陳棟洙・金融委員会委員長(右端)

 李明博大統領は19日、企画財政部長官に尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)・元金融監督委員長(62)を起用するなど長官級4人と、次官級15日を交代する内閣改造を断行した。統一部長官には「非核・開放3000」構想の立案者とされる玄仁沢(ヒョン・インテク)・高麗大学教授(54)、国務総理室長には権泰信(クォン・テシン)・同室事務次長(59)、金融委員長には陳棟洙(チン・ドンス)・韓国輸出入銀行長(59)をそれぞれ抜擢した。また、不正融資疑惑が浮上していた朴炳元・経済首席秘書官を更迭、後任に尹鎮植(ユン・ジンシク)・韓国投資金融持株会社会長(62)を任命した。これで、元財務部出身の金融通の尹増鉉・陳棟洙・尹鎮植3氏の新たな経済ラインが構築されることになった。経済危機克服へ向けた「危機対処チーム」として、市場への政府の関与が強まる布陣だ。

 今回の内閣改造の最大の特徴は、企画財政部長官、金融委員長、青瓦台経済首席秘書官とつながる経済政策の指令塔を総入れ替えした点だ。李大統領は、為替政策の失敗で市場からの信任を失った姜万洙・財政経済部長官を擁護しきれず、更迭に踏み切った。これにより、景気浮揚を通じた成長ドライブ政策にブレーキをかけ、最悪の状況に陥った経済再生に重点が置かれることになった。

 青瓦台は、尹元委員長の企画財政部長官起用について「金融・財政分野など経済全般にわたり専門性と統率力に秀で、経済危機克服に向けて市場の信頼が期待できる」と説明。各次官に李大統領の側近を多数配置していることを考え合わせると、国政における李政権のリーダーシップはかなり強化されそうだ。だが、「側近人事」などの批判が起こることも予想される。

 李政権の「第2期経済チーム」は、徹底して危機対応という目的に沿って組まれた「危機管理チーム」で、1997年の通貨危機の経験を持つ人材が主軸になっている。

 尹増鉉氏と尹鎮植氏は通貨危機当時、それぞれ財政経済院金融政策室長、青瓦台租税金融秘書官を務め、危機管理で息を合わせた。また、陳棟洙氏は、大宇自動車問題など企業リストラや国際金融分野での経験が豊富だ。

 2期経済チームの最大課題は、金融システムを安定させ、構造調整と景気回復にスピードをつけることだ。

 内閣改造をめぐり、財界の一部では、「モフィア」の立場が強くなったとの声がある。モフィアとは、財務部を意味するイニシャル「(MOF=Ministry of Finance)」とマフィアを合わせた言葉で、旧財務部出身官僚を指す。モフィア出身は、現場のミクロ的な現象を重視し、「速戦即決」型の政策を好む。このため、政策推進にスピードをつけることはできるが、「官治経済」が復活するのではないかという憂慮も起こっている。

 李大統領は新たな経済チームで市場の信頼回復をめざす考えだ。市場は尹増鉉氏の強いリーダーシップが信頼回復に役立つとプラスの評価をしている。しかし、「内閣改造のタイミングを逸した。もっと早く交代させるべきだった。新たな経済チームが打つ出す政策効果は半減してしまうだろう」との厳しい見方もある。

 一方、統一部を率いるトップが金夏中長官から玄仁沢・高麗大教授に交代することで、対北政策はこれまでよりも強まる可能性がある。金夏中長官は「太陽政策」の枠組みから抜け切らず、政策の鮮明性のため更迭された。玄仁沢氏は、大統領選の当時から李大統領の外交、安全保障分野の側近中の側近で、安保と韓米関係を主に研究してきた保守系の学者。北朝鮮核問題の進展と南北関係の発展を連携させ、国際協調を通じ北朝鮮問題を解決すべきという考え方だ。