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2009/05/22

<総合>温室ガス減らし低炭素都市に改造

  • 温室ガス減らし低炭素都市に改造

    ソウル宣言を採択した第3回C40サミット

 世界80都市の市長らが参加し、地球温暖化や気候変化対応策を話し合う第3回C40(世界大都市気候先導グループ)サミットが19日から3日間ソウル市内のホテルで開かれ、最終日の21日、「「温室効果ガス排出量を減らし、各都市を低炭素都市に作り変えることを共通の目標にする」としたソウル宣言を採択した。

 ソウル宣言文は、C40都市が市政運営及び都市開発の過程で現在の炭素排出水準を把握、政策やプログラム及び事業などの方法で排出量を抑制するための措置を施行する内容を盛り込んでいる。さらにC40都市は温室効果ガス排出の分類・監視を行い、段階別削減目標、具体的実行計画及び時間割を含めた気候変化行動計画を履行する。

 これによりC40会員都市は気候変化対応問題を担当する政策責任官を指定し、C40事務局に通報。次回の総会で温室ガス削減努力の成果を報告することになる。

 宣言文は「世界人口の半分以上が都市に居住し、世界のエネルギーの75%を消費。そして、温室効果ガスの80%を排出している。30年には、世界人口の3分の2以上が都市に居住するだろう」とし、「都市が気候変化の責任を負い、温室ガス削減と気候変化への適応に対する対策を樹立・執行すべき」と強調している。

 今サミットには、主催都市ソウルの呉世勲市長をはじめ各国市長、韓昇洙・国務総理、ビル・クリントン元米大統領、国連人間居住計画(国連ハビタット)のティバイジュカ事務局長ら400余人が出席、「都市の気候変動への対応と課題」をテーマに討議を重ねた。

 呉市長は開会式で、「都市は気候変化の原因を提供すると同時に最も大きな被害者であり、また気候変化問題解決のカギを握っている」と強調。

 クリントン元大統領(CCI財団理事長)は基調演説で、「温室効果ガスを50年までに80%ほど減らさなければ致命的な状況が起こり得る」と指摘。太陽熱や風力発電、ビルのエネルギー効率化などを通じ多くの雇用を創出できるとして、環境のために尽力することは経済的にも妥当だと説明した。

 同じく基調演説を行った、国連人間居住計画のティバイジュカ事務局長は、数10億㌦に達する救済金融資金の一部を「グリーン経済」に投じれば、都市は持続可能な都心化(開発)に投資するチャンスを得るとし、グリーン成長分野への投資の重要性を力説した。

 一方、サミット期間中にはサムスン、現代、ポスコなど国内企業46社が参加し、再生可能エネルギー・エネルギー効率化分野の技術や製品などを紹介する「気候変化博覧会」が韓国総合展示場で開催された。

 参加各都市は取り組んでいる様々な政策を発表した。

 呉世勲ソウル市長は、2020年までに再生可能なエネルギー比率を20%に拡大するという市の目標を紹介し、この1年余りでソウルの大気中のほこりが10%以上減少したことをアピールした。また、①市内バス7600台のうち6000台を環境に配慮した圧縮天然ガス(CNG)バスで代替し、来年中に100%交替を完了②14年までに総距離400㌔の自転車道路を建設③漢江沿いの緑地を拡充する漢江ルネサンス事業なども紹介。

 石原慎太郎・東京都知事は、東京は2010年から世界で初めて都心用の二酸化炭素排出量取引制度を導入すると紹介したほか、太陽エネルギー利用拡大に向けた努力が国と企業を動かし、市場をけん引する原動力になっていると話した。

 フィンランド・ヘルシンキ市のパユネン市長は、都市最大のエネルギー用途の1つとなっている公共照明の施設を改善し、エネルギーを削減した事例を発表した。今後、すべての街路灯を発光ダイオード(LED)照明に交替する計画だと説明した。

 ベルリン市は、過去20年間でエネルギー削減と気候保護政策を積極的に進めた結果、05年に二酸化炭素排出量が1990年に比べ25%減少したと紹介。20年までに40%を削減すると新たな目標を掲げた。