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2009/06/26

<総合>韓国経済 来年に急速回復・国際機関が一斉に上方修正

  • 韓国経済 来年に急速回復・国際機関が一斉に上方修正①

    ソウルで開かれた世界銀行開発経済年次会合

  • 韓国経済 来年に急速回復・国際機関が一斉に上方修正②

 国際機関が一斉に韓国経済の来年の成長展望を上方修正した。OECD(経済協力開発機構)は24日、加盟30カ国の2010年までの経済見通しを発表し、来年の韓国の経済成長率は加盟国で最も高い3・5%を記録するだろうと予測した。また、IMF(国際通貨基金)は、4月の予測値より1ポイント高い2・4%に上方修正する見通しだ。世界経済の先行きに厳しい見方をしている世界銀行も、韓国経済は来年急速に回復し、2%成長すると予想している。

 OECDの経済見通しによると、韓国の成長率は今年はマイナス2・2%に落ち込むものの、来年には世界貿易の回復を追い風にプラス3・5%に回復する。主要国も日本0・7%、米国0・9%、ドイツ、フランス各0・2%と今年のマイナス成長からプラス成長に転じ、OECD加盟国平均では今年のマイナス4・1%からプラス0・7%に回復する。その中で韓国の来年成長率は最も高い。

 OECDは、韓国経済の状況について、「今年第1四半期(1~3月)の拡張的な財政政策による効果が表れ、民間消費、建設投資、工業生産が前期を上回るなど底を脱した」と評価した。また、消費心理が改善し、在庫調整も行われ漸進的な回復が予想されると明らかにした。しかし、「雇用条件の悪化、金融不安の可能性、世界経済の回復速度など、韓国を取り巻く不確実性は依然として高い」とし、輸出依存度が高い韓国は、世界経済の回復速度に大きく左右されるとの懸念を指摘した。

 来年の失業率についても、今年水準の3・9%を見込み、雇用不振は来年まで解消されないと予測している。輸出は今年の10・5%減から来年には7・0%増に回復し、消費者物価は今年の2・5%から来年には2・0%で安定すると予測。また、経済回復以降には税制改革や政府支出の縮小などで財政健全性を確保する必要があると勧告した。

 一方、IMFの韓国経済に対する評価も上向いた。IMFの首席エコノミストを務めるブランシャール米MIT(マサチューセッツ工科大)教授は24日、ソウルで開かれている世界銀行開発経済年次会合の基調演説で「アジアの景気回復の勢いが予想より早いため、韓国の成長率を1%程度上方修正する」と明らかにした。中国とインドの成長予測はそのまま維持するが、韓国を含む主要アジア国は1%ずつ引き上げるというものだ。

 IMFは4月に世界経済見通しを通じ、韓国の成長率を今年マイナス4・0%、来年1・4%と予想していた。ブランシャール教授は、「新興国は6カ月前に比べはるかに良い状態にある。資本が流出すれば再び戻るのに時間がかかったり返ってこないことも予測したが、杞憂にすぎなかった」と述べた。

 一方、世界銀行は大方の回復予想とは異なり、今年の世界経済の成長率は、3月の展望値マイナス1・75%からマイナス2・9%へとさらに悪化すると悲観的見方をしている。

 これは、世界貿易が当初予想のマイナス6・1%から9・7%の大幅減少が予想され、各国の景気萎縮も深刻化すると分析しているからだ。しかし、来年にはアジア新興国の回復の勢いが強まり、2%のプラス成長が可能だとみている。

 世界銀行の上級副総裁兼主任エコノミスト・林毅夫(ジャスティン・リン)は、韓国の今年成長率はマイナス3~3・5%に落ち込むが、その後急速に回復し、来年にプラス2%、2011年には4~5%を記録するだろうと予想した。


◆韓国政府は4%予測◆

 政府が今年の経済成長展望を当初のマイナス2%からマイナス1・5%へ0・5ポイント引き上げた。また、今年の経常収支も250億㌦黒字に上方修正し、新規雇用も当初のマイナス20万人から多少改善したマイナス10万~マイナス15万人を提示。来年の展望については、成長率4%前後、就業者15万人増加、経常収支80億㌦黒字、消費者物価2%台後半と予測した。

 企画財政部は25日、このような経済展望を含めた2009年下半期経済運用方針を李明博大統領に報告した。

 当初、企画財政部は第2四半期に前期比0・7%前後の成長を予想した。しかし、実際には1・7%程度の成長が見込まれるなど大きく改善していることから、今年は年間マイナス1・5%前後の成長率を記録すると見通した。

 4月に出した今年の成長率展望はマイナス2%前後だった。


◆韓国のCEO、8割が「景気回復に至らず」◆

 韓国経営者総協会の調査によると、全国主要企業244社のCEOの82%が、現在の景気状況は回復段階に至っていないと評価した。景気が底入れし、回復段階に入ったとの見方は18%にとどまった。

 まだ景気回復に至っていないと答えたCEOのうち、回復時点を来年と見る人が67・9%で最も多く、次いで2011年との回答が14・7%、2012年は9・2%だった。景気回復の兆しは見えるものの、各種経済指標は依然、昨年9月のリーマンショック直前の水準以下である。企業経営者にとってはとても楽観できる状況にないということだ。

 経済専門家の多くも、景気指標がリーマンショック前の水準に戻るには、少なくとも1~2年かかるとの見方を示している。