ここから本文です

2009/12/11

<総合>韓国・研究用原子炉の輸出国に

  • 韓国・研究用原子炉の輸出国に

    韓国電子力研究院は研究用原子炉の「ハナロ」を独自技術で設計・運営している

 教育科学部の発表によると、韓国原子力研究院と大宇建設からなる韓国のコンソーシアムが国際入札で、ヨルダン政府が発注した研究用原子炉(JRTR)建設事業の最優先交渉対象者に選定された。交渉を経て正式契約となるが、韓国の受注は確実とされる。受注に成功すれば、1959年に米国の支援で原子力技術開発を始めて50年で原子力技術の輸出国になり、商業用原発輸出の道も開けることになる。輸出される原子炉は5メガ㍗級の小型原子炉で、2014年までに設置を完了する計画。受注金額は2億㌦前後になる見込みだ。

 今回の受注競争で韓国は、世界の研究用原子炉市場を寡占してきたアルゼンチンのINVAP、中国の核工業総公司、ロシアのアトムストロイエクスポルトの3者を退けた。

 コンソーシアム関係者は、「韓国は研究用原子炉建設の経験が浅く、原子力システム輸出経験もないという点が不利だったが、出力30メガ㍗級大型研究用原子炉である「ハナロ」を自力で設計、1995年から運営してきた経験と技術力が高く評価されたようだ」と分析した。

 教育科学技術部の関係者は、「今回の事業者選定には、ヨルダンの学生をKAIST(韓国科学技術院)に留学させ、韓国原子力研究院がヨルダンのエンジニアの実務教育に責任を持つという具体的な内容まで含まれていることを考慮すれば、最優先交渉対象者の選定が本契約につながるのは確実だ」と語った。

 ヨルダンにとっては初の原子炉建設となるJRTR事業は、国策であり、人材育成にも必須だ。李明博大統領は昨年12月にヨルダン国王のアブドッラー2世との会談でこの国策事業に協力することで意気投合したことも今回の最優先交渉者選定に間接的に影響したようだ。

 韓国政府は原子力産業の育成に力を入れており、国会の未来成長動力産業研究会も最近、原子力に関するシンポジウムを開き、「二酸化炭素削減時代に原子力産業が次世代の成長動力に浮上している。韓国はこの機会を逸することなく積極的に世界に市場を開拓しなければならない」という意見を集約した。

 全世界で研究用原子炉は660基がつくられ、現在50余カ国で240基が稼動中だ。このうちの80%が20年以上運転しており、老朽化が目立ち始めた。従って、今後大幅な代替需要が発生するとみられている。原子力研究院の梁明承(ヤン・ミョンスン)院長は、「15年以内におよそ50基の研究用原子炉が国際入札で建設される予定だ。タイ、ベトナム、トルコを対象に人材育成支援などもすすめ、研究用原子炉の設計を受注していきたい」と語った。

 研究用原子炉市場規模は10兆~20兆ウォンと推定されているが、今回の受注が成功すれば韓国は今後の受注競争でも有利になりそうだ。