ここから本文です

2009/03/13

<総合>ウォン安・円高効果、対日赤字が縮小傾向

  • sogo_090313.jpg

 急激なウォン安・円高の影響を受け、慢性的な対日貿易赤字が縮小傾向にある。知識経済部によると、対日赤字は世界金融危機が発生した昨年9月から減り始め、今年1月には前年同月比39%減の14億1000万㌦を記録した。2月も20日までの赤字額は13億4300万㌦にとどまっている。今年に入って、2月20日現在で37・5%の減少だ。これは対日輸入の落ち込みが対日輸出以上に大きいからで、対日赤字構造が改善されたわけではない。だが、これを機会に部品・素材の対日依存から脱却する動きが出始めている。

 昨年の対日赤字は過去最高の327億㌦を記録、月平均の赤字額は27億2500万㌦だった。今年に入っての対日赤字は昨年より10億㌦以上減っている計算になる。知識経済部は、「このままいけば今年の対日赤字は昨年より100億㌦以上少ない200億㌦に減少するだろう」と見ている。

 対日輸出は今年に入って2月20日現在28・7%減少しており、対日輸入はそれを上回るマイナス32・7%だ。「貿易縮小の中の赤字減少」であり、決して望ましいものではない。だが、対日赤字構造を改善する契機になり得る。KDI(韓国開発研究院)関係者は、「対日赤字減少は、韓国の全体輸出が減少し、これにより対日資本財・中間財の輸入が減った結果だ」と分析、対日依存の高い部品・素材を国産化できる好機だと指摘した。

 円に対するウォンレートは一時、100円=1600ウォン台に入るなど、この1年間にほぼ2倍のウォン安となっている。レートで計算する限り、対日輸出価格は半減しており韓国商品の価格競争力は高まっている。例えば、ポスコは今年1月にトヨタとの間で自動車用鋼板の供給契約を結んだ。これまでトヨタ側はポスコの供給申し入れを拒否してきた経緯があり、急激なウォン安で価格競争力が強まったポスコ製品が、トヨタの壁を破った格好だ。

 逆に、対日輸入価格は2倍ほど上昇することになり、輸入抑制として働く。対日依存の高い資本財などの輸入が激減しているのもそのためで、国産品への代替効果が期待できる。韓国銀行が対日赤字の原因を分析した報告書によると、対日赤字の60%が部品・素材の輸入により生じている。韓国が短期間で高成長を追求する戦略を採ってきたため、独自の基幹技術を十分に蓄積できず部品・素材産業が脆弱化した。

 政府はこれを立て直すべく、エコ関連中小企業1000社を選定して本格的に育成する方針も打ち出した。また、昨年から部品・素材専用工業団地を造成し日本企業を誘致に力を入れており、日本の中小企業の関心も高まっている。

 一方で、多角的な対日輸出を増大させる対策が急がれ、「高齢化社会に対応したシルバー商品や健康関連商品など、有望分野やニッチ市場に進出するための努力も強化すべき」との提案もなされている。

 急激なウォン安・円高という変化を対日赤字縮小に結びつける様々な対策が今後、どのような成果を上げるのか成り行きが注目される。