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2010/07/30

<総合>韓国経済拡大局面・製造業が18%の高成長

  • 韓国経済拡大局面・製造業が18%の高成長

 韓国銀行によると、第2四半期(4―6月)の実質GDP(国内総生産)は、前年同期比7・2%成長した。前期比では1・5%増となる。民間消費と輸出が好調を持続し、設備投資も増え、特に製造業が18%の高成長を記録し、全体の成長率を押し上げた。これで第1四半期(1~3月期)成長率(8・1%)と合わせた上半期(1~6月)の成長率は7・6%になり、2000年上半期(10・8%)以降で最も高い数値を記録した。

 昨年は世界金融危機で成長率が急激にダウン、対前年同期比で第1四半期(1~3月)がマイナス4・3%、第2四半期もマイナス2・2%に落ち込んだが、第3四半期(7~9月)に1・0%のプラスに転じ、第4四半期(10~12月)には6・0%まで回復、今年に入ってさらに成長に勢いがついている。

 金明紀(キム・ミョンギ)・韓銀経済統計局長は「韓国経済は予想より強い成長を維持しており、世界金融危機前の水準を回復した。拡大局面に入った可能性すらある」と分析した。

 韓銀はこの傾向が続けば、今年の年間成長率は先に拡大修正した予想値5・9%を十分に達成すると見込んでいる。政府も今年6%成長が可能と予測している。電機や自動車などを中心に第2四半期の大企業の業績は軒並み好調であり、国際競争力が高まっているのも強みだ。

 問題は不動産景気と海外の変数だ。ソウルと新都市の不動産価格は先週まで22週連続で下落。展望も明るくない。第2四半期は消費も投資も伸び、設備投資は機械類投資の拡大で29・0%(前期比8・1%)の高い伸びを示したが、建設投資は2・7%減少した。ギリシャの財政危機に端を発する欧州の景気悪化の拡散も懸念材料だ。

 さて、第2四半期のGDPを業種別に見ると、問題点も浮かび上がってくる。製造業は一般機械と金属製品、自動車など輸出関連業種の好調で、前年同期比18・0%増を記録、前期比では5・1%の増となる。明らかに製造業が成長を牽引した最大の立役者である。

 内需型のサービス業は景気回復と輸出入の増加で卸・小売業や飲食・宿泊業、運輸・保管業などが好調をみせて前年同期比3・7%(前期比で0・2%)増を記録したものの、輸出依存型の製造業には比べると、成長に勢いがない。特に、建設業は住宅建設が振るわず前年同期比0・5%(前期比0・8%)減と、1年6カ月ぶりにマイナスに転落した。農林漁業も2・3%のマイナスを記録。

 産業連関表で分類した輸出業種と内需業種の成長比較によれば、09年の就業者比率が16・7%の輸出業種の成長率は17・3%を記録した。半面、就業者比率が83・3%を占める内需業種の成長率は4・3%にとどまった。今年第2四半期の輸出業種と内需業種の成長の開きはさらに大きくなっている。内需産業は就業者数が多いだけに、景気回復が実感として感じられない状況がある。

 このため、内需型のサービス産業を育成し、内需基盤を強化する必要があると指摘されている。