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2010/04/09

<総合>再生可能エネルギー産業が急成長

  • 再生可能エネルギー産業が急成長①

    慶尚北道盈徳に完成した風力発電所

  • 再生可能エネルギー産業が急成長②

           慶尚南道密陽に完成した太陽光発電所

 本格的なエコ時代を迎えて、韓国でも太陽光、風力など再生可能エネルギーが成長産業として急浮上している。サムスンやLGなど大手企業をはじめ造船業界も相次いで参入、この業界の市場規模は急速に拡大しており、知識経済部によると、今年は業界全体で売上高が昨年の2倍の8兆ウォンに達し、輸出も昨年より125%増の46億㌦に増える見通しだ。投資も活発化、今年は4兆ウォンを超える勢いとなっている。

 知識経済部は、再生可能エネルギー事業の現況把握のため調査機関のディスプレイバンクに依頼し、太陽光、風力、太陽熱など6分野の全企業を調査した。その結果、過去5年間で再生可能エネルギー分野の企業数は、2004年には41社から昨年には146社に増えた。3・6倍の急増ぶりだ。特に有望産業とみた大企業の参入が目立った。

 企業参入が増える中、再生可能エネルギー業界の売上高は04年の1394億ウォンから4兆275億ウォンへと5年間で29倍も増えた。輸出も6500万㌦から20億4000万㌦へと30倍以上増え、輸出産業化している。

 雇用創出にも大きな効果が得られている。同期間に雇用人員が689人から9151人へと13・3倍に増えており、「雇用なき成長」が問題となっている韓国にとって、温室効果ガスを減らし雇用も増やせる一石二鳥の産業だ。

 再生可能エネルギーの中で最もウエートが大きいのは太陽光。太陽光産業はコスト面で採算があわず、シリコンを使う太陽電池の価格も高価だったため、なかなか普及しなかったが、政府の政策的支援や技術開発の進展により未来の有望産業となっている。

 大企業ではサムスン,LG、ハンファ、現代重工業、コーロンなどが本格的に乗り出しており、サムスンは昨年に慶尚北道金泉(クムチョン)で1万8400㌔㍗規模の太陽光発電所を稼動させた。LGも忠清南道泰安(テアン)郡で太陽光発電所を完成した。

 太陽光産業の売上高は昨年に2兆3765億ウォンを記録し、5年間で72倍増。輸出も600万㌦から13億800万㌦に急増した。特に雇用人員が170人から5587人へと33倍増を記録、雇用誘発効果が大きいことを立証した。

 発電単価が太陽光と比べ格段に安い風力発電も注目され、造船大手が相次いで参入した。船舶建造技術が応用できるという利点があり、現代重工業は蔚山(ウルサン)操船所内に風力発電機を設置する一方、全羅北道群山で昨年大型風力発電工場を完成させた。大宇造船海洋は、米社を買収するなど15年までに世界10位の風力発電企業をめざしている。

 風力産業の売上高は04年の1010億ウォンから昨年には1兆340億ウォンに10倍増を記録。雇用も281人から2301人に8倍増えた。今年は、再生可能エネルギー分野の雇用人員が昨年より28%多い1万1715人に達し、太陽光、風力産業がその86%を占める見込みだ。

 韓国の技術力は確実に向上しており、大型海外受注にも成功している。昨年、韓国電力とサムスン物産がカナダで60億㌦規模の世界最大級の風力・太陽光複合団地開発事業を受注したのがその代表例だ。

 太陽光、風力以外に潮力の利用も進められている。韓国の西海岸は干満の差が大きく、潮力発電の適地とされており、仁川湾で世界最大の132万㌔㍗規模の潮力発電所を建設することになった。今年2月、韓国水力原子力とGS建設が17年完成をめざすと発表。

 知識経済部関係者は、今回の調査結果について、「再生可能性エネルギー産業は全般的に急成長しているが、なかでも太陽光と風力産業の成長が目立ち、今後の成長エンジン産業としての可能性を明確に示している」と説明した。韓国の再生エネルギー比率は07年基準で主要30カ国の中で最低の1・4%だった。政府はグリーン・ニューディール計画のもと、政策的支援を強めており、今後の進展が期待される。


 ◆再生可能エネルギーとは 自然界に存在し、繰り返し使えるエネルギーのことで、太陽光、風力、水力、波力などが含まれる。CO2(二酸化炭素)を排出しない発電を可能にするエコ時代の切り札だ。韓国は2020年までに全エネルギーに占める再生可能エネルギー比率を105以上に引き上げる計画だ。