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2010/07/23

<総合>LG化学・米で電気自動車用バッテリー工場起工

  • LG化学・米で電気自動車用バッテリー工場起工①

    起工式でオバマ大統領(左)と握手する具本茂LGグループ会長

  • LG化学・米で電気自動車用バッテリー工場起工②

 電気自動車用の二次電池市場で旋風を巻き起こしているLG化学が、2013年の完工をめざし、米ミシガン州・ホランド市に電気自動車用バッテリー工場の建設に着手した。15日のバッテリー工場起工式には、異例にもオバマ米大統領が参加、「ここはミシガン州と米国が進む方向を示す象徴だ」と述べ、LG化学の進出を歓迎した。13年から毎年、電気自動車6万台に供給できるバッテリーを生産、GM(ゼネラル・モーターズ)やフォードなどに供給する予定だ。

 オバマ大統領は祝辞の中で、「ここに電気自動車用バッテリー工場を建設することは、単に新しい工場を建設する以上の意味がある。都市と州、国のために、より良い未来を築くもので、米経済に非常に重要だ」と述べた。また、バッテリー製造技術の発展は今後数年間でコストを70%削減できるとし、これは雇用を創出し、輸入石油に対する依存を減らし、結局は米経済の回復に役立つと期待を寄せた。

 ホランド市はオランダ移民が主に暮らす人口約3万5000人の小都市。オバマ大統領の起工式出席は、米政府が環境に優しい電気自動車バッテリー産業をどれだけ重視しているかを示すものだ。

 実際にLG化学のホランド工場も、米連邦政府が推進中の電気自動車開発・量産政策に伴い、投資総額の約半分に当たる1億5000万㌦の現金支援を受けた。また、ミシガン州から税金減免優遇も受けており、工場建設による負担を大幅に軽減できた。

 起工式には、LGグループの具本茂(ク・ボンム)会長、LG化学の金磐石(キム・バンソク)副会長ほかミシガン州のジェニファー・グランホルム知事ら米政財界関係者ら400人が出席。起工式のセレモニー前にオバマ大統領は、具会長に韓国語で「アンニョンハセヨ(こんにちは)」とあいさつ、「米国に電気自動車用バッテリー工場を建設することをお祝いします」と語った。具会長は大統領の参加に感謝の言葉を述べた。

 工場は約50万平方㍍の敷地に建設される。同工場の雇用創出効果は約500人が見込まれているが、グランホルム州知事は、「これを皮切りに、バッテリーや電気自動車産業で6万2000人の雇用が見込まれる」と期待した。

 生産されるバッテリーは、GMが本格的に準備を進めている電気自動車「ボルト」のほか、来年から量産されるフォードの電気自動車「フォーカス」にも供給する。

 LG化学は、韓国の現代・起亜自動車、GM、フォードのほか、中国の長安汽車集団、スウェーデンのボルボなど7社と供給契約を締結しており、年内に日本メーカーを含む3~4社と新たに供給契約を結ぶ予定だ。

 LG化学はホランド工場のほか、忠清(チュンチョン)北道の梧倉(オチャン)工場に電気自動車用二次電池生産工場を建設しており、欧州での生産工場建設も検討している。また、15年までに二次電池分野で、売上高2兆ウォンを達成、世界シェア20%達成をめざす本格的な計画も立てている。このため、年末までに二次電池の研究開発者400人を採用し、500億ウォンを次世代電池の開発に投資する方針だ。電気自動車向け電池の世界市場規模は約10兆ウォンと予想され、LG化学の世界シェア達成の可能性は高まっている。


◆二次電池市場席巻・赤字覚悟、執念の勝利◆

 LG化学が二次電池の独自開発に着手したのは1993年。98年に小型リチウムバッテリーの量産に韓国で初めて成功したが、日本の技術には10年ほど遅れており、事業の採算性は立っていなかった。

 このため、01年11月、就任6年目の具本茂会長はじめLGグループ経営陣が参加した主要投資決定会議で、「日本の三洋電機など世界的な電機メーカーが二次電池技術開発で先を行っているのに、赤字を覚悟してまで事業を継続する必要があるのか」と反対意見が飛び出した。

 さらに、06年には二次電池事業で2000億ウォンの巨額赤字を計上し、再び撤収論が台頭した。

 その都度、二次電池事業の中断が検討されたが、未来の成長エンジンを確保すべきだとの具本茂会長の決断により、中・小型二次電池の代わりに電気自動車やハイブリッドカー向けの大型二次電池向け投資を強化してきた。

 「何年かかろうと、独自技術を開発しなければ、我々に未来はない」という具会長の決意が実ったと言える。

 例えば、01年に米国法人のCPIを設立し、GMの電気自動車のエンジン設計総括者をCPI代表に迎え、それが昨年のGMへのバッテリー供給契約に結びつくことにもなった。

 LG化学の第2四半期(4~6月)の業績は売上高(5兆281億ウォン)、営業利益(8279億ウォン)とも過去最高を記録したが、今後のさらなる躍進が期待される。