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2010/08/27

<総合>「成長滞在力」高め「親庶民」強化

  • 「成長滞在力」高め「親庶民」強化

    生物多様性条約の事務局長から特別功労賞を受ける李大統領㊨

 李明博大統領は25日、5年任期の折り返し点を迎え、「最後の日まで初心を忘れずに揺るぎなく最善を尽くす」との覚悟を示した。後半期の最大課題はグリーン革命を軸に成長潜在力を最大に高める一方、二極化した経済社会構造を改革し、「親庶民」の実効ある政策の展開だ。外交的には、G20(主要20カ国・地域)首脳会議の成功が当面の最大課題となっている。

 李政権の前半期を振り返ると、厳しい試練に何度もさらされた。

 内閣人事をめぐり、その人選に道徳性問題が提起され「金持ち内閣」と批判を受けた。また、米国産牛肉の輸入問題で世論が悪化し、支持率が20%台に急降下、政権発足初期から先行きが危ぶまれる事態となった。

 その後も、行政都市「世宗市」への政府機関移転計画を白紙撤回する修正案が国会で否決され、国務総理の辞任という事態に発展した。南北関係も悪化、今年3月には韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件が発生し、緊張が走った。さらに、6月の統一地方選挙で与党ハンナラ党が予想外の大敗を喫した。誤算続きだった。

 だが、折り返し地点のいま、李大統領の支持率は40~50%台に回復、国政運営に自信を取り戻している。内閣改造と青瓦台の人事改編も断行、後半期に臨む態勢を整えている。

 厳しい試練の中でも政権の求心力を保ち得たのは、まず景気回復に尽力したことが挙げられる。世界金融危機からいち早く抜け出すことに成功した。また、最近では庶民や中小企業に配慮した政策を打ち出し、大企業寄りから庶民よりを鮮明にしている点も好感されている。

 そして、何よりも大きいのはCEO大統領としての外交成果だ。昨年末、アラブ首長国連邦(UAE)を電撃訪問、原子力発電所の受注を最終確定するなど経済外交の成果が目立った。特に、G20首脳会議の誘致成功は大きな得点となった。さらに、忘れてならないのはグリーン革命だ。環境に優しい産業中心の成長戦略を打ち出し、産業界も巻き込んで低炭素・グリーン産業育成を先導した。

 李大統領は、747政策(7%成長、国民所得4万㌦、世界7大先進国入り)を公約に掲げて当選した。典型的な成長路線で、ビジネスフレンドリーと称される企業寄りの政策を推し進めたが、世界的な不況など環境変化もあり、軌道修正した。

 後半期は、経済分野で「質的な成長」を目指し、庶民や中小企業も経済回復を実感できるよう、バランスを取りながら雇用創出やグリーン成長などの潜在的成長力拡充に集中することになりそうだ。庶民寄りの政策の実効性を高めるため、庶民の意見に自ら耳を傾け策を講じるとともに、大企業と中小企業の共存に向けた制度も強化する計画だ。

 また、4大河川再整備事業を2012年に完工させ、体系的な水資源管理、観光、生態空間確保などの目標を達成することが大きな課題となる。


◆生物多様性条約 李大統領に特別功労賞

 李明博大統領は24日、青瓦台(大統領府)で、生物多様性条約(CBD)のアフメド・ジョグラフ事務局長から功労賞を受賞した。

 今回の受賞は、低炭素・グリーン成長が世界的な合意を得る上でリーダーシップを発揮し、国連への「生物多様性に関する国際的な枠組み」設立に尽力するなどの貢献が認められた。また、ソウル市長在任中に清渓川の復元を成功させ、ソウルをエコ都市に生まれ変わらせたことも高く評価された。