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2011/02/11

<総合>超大型投資銀行を育成

  • 超大型投資銀行を育成①

    ソウル汝矣島(ヨイド)の金融街。ウリ投資証券の売却で投資銀行化も検討されている

  • 超大型投資銀行を育成②

                金 錫東 委員長

 政府は、グローバル競争力を備えた超大型投資銀行(IB)を育成し、資本市場規制を大幅緩和する検討作業に入っている。金錫東(キム・ソクトン)・金融委員長がこの資本市場ビッグバンの先導役だ。産業銀行、輸出入銀行、貿易保険公社、政策金融公社の4つの国策金融機関の機能を改編し、グローバル投資銀行のような役割を遂行する案を検討している。また、証券会社間の合併を推進し、政府が保有しているウリ金融持株の売却においてウリ投資証券を分離売却して大型IB誕生を誘導する方針だ。

 金委員長は6日、統合資本市場法(資本市場と金融投資業に関する法律)導入2周年に際し、「世界金融危機以降、市場が安定を取り戻し、衝撃にも持ちこたえる体力が備わるようになった」として「大幅な規制緩和を通じて資本市場に革命的ビッグバンを呼び起こさなければならない」と語った。

 そのビッグバンのひとつとして超大型IB推進をあげた。「核心的な金融技法で企業の海外進出を後押しし、国際金融市場で通用する大型IBの出現が緊要な時点だ。公的金融機関がそのような役割を果たせるように機能改編に乗り出す計画だ」と強い意気込みをみせた。

 金委員長は04年、財政経済部(現企画財政部)金融政策局長のときに統合資本市場を取りまとめ、次官の時に法案を国会に通過させた人物だ。「世界的な投資銀行が登場できる土壌をつくると約束したが、期待以下だった。法案作成当時、規制を確実に解いたが、国会論議過程でかなりの規制が残った。そんな中、世界金融危機が発生し、全ての金融機関が保守・安定化に舵を切った」と資本市場の規制緩和が不十分に終わった背景を説明した。

 このような教訓を踏まえ、今回新たに挑戦するというものだ。

 金委員長は、「原子力発電など世界各地で行われている超大型プロジェクトには韓国企業が必ず応札している。技術力と価格競争力は備えているが、ファイナンス(資金調達)問題で決定的チャンスを逃すことがある。外国企業は世界的な投資銀行の支援を受け受注に成功することが多い」と超大型IBの必要性を語った。

 このため、政府と民間の両面戦略を提示した。

 金委員長は、政府レベルの投資銀行育成戦略について、産業銀行、輸出入銀行、貿易保険公社、政策金融公社の4つの政策金融機関の機能を改編して超大型投資銀行の誕生を積極的に推進すると強調。

 しかし、これら4機関の主務部署はそれぞれ異なる。例えば輸出入銀行は金融委ではなく企画財政部所管だ。金委員長は「最近、公共機関革新セミナーで大統領をはじめ各部署長官に4機関の機能再編・拡大の必要性を説いた」として、部署を超えた改編作業を推進する意思を明らかにした。

 民間レベルでの投資銀行育成戦略は、規制緩和と大型証券会社間のM&A(買収・合併)活性化だ。例えば、国内ビッグ3証券会社の1つであるウリ投資証券と他の大型証券会社がM&Aすれば、大型投資銀行誕生に期待がもてる。

 金委員長は、統合資本市場法の改正を金融産業発展の契機にすべく推進すると強調したが、金融産業も安定重視から成長に向けて政策転換を図る考えのようだ。それは、多様な金融商品に投資し、高収益を狙うヘッジファンドを活性化するとの方向性を打ち出していることにも表れている。