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2011/10/07

<総合>韓米FTA来年1月発効へ

  • 韓米FTA来年1月発効へ

       韓米FTAの早期批准を議会に正式に求めたオバマ米大統領

 韓米FTA(自由貿易協定)が、2007年6月の締結から4年4カ月ぶりに批准される見通しになった。オバマ米大統領は3日、韓米FTAの実施法案を議会に提出、早期批准を正式に要請した。これまでFTA実施法案が米議会で否決されたことはなく、李明博大統領が国賓として訪米する今月中旬をめどに成立する見込みだ。韓国側も国会批准を急ぎ、今月中に批准同意案を成立させたいとしている。両国は年内に関連手続きをすべて終え、来年1月発効を予定している。

 韓米FTAは、米国側が先に批准することになりそうだ。実施法案はコロンビア、パナマとのFTAとともに米議会に提出され、オバマ大統領は声明で「3カ国で米国製品の販売が増加し、輸出拡大に寄与するだろう」と述べ、早期の通過を議会に求めた。

 オバマ大統領は別途に議会に送った書簡で、韓米FTAが7万人以上の雇用を創出すると強調。「もし法案が成立しなければ、韓国市場での米国製品のシェアが一段と低下する」と訴えた。

 民主、共和両党とも速やかに法案を処理する立場を表明しており、特に問題がない限り、13日の韓米首脳会談前に成立する可能性が高まった。

 米国務省のヌーランド報道官は4日、「李明博大統領が米国を国賓訪問するまでに韓米FTA実施法案を処理したい」とし、韓米FTAが発効すれば米国で7万人分の雇用を創出し、100億~120億㌦の輸出を生み出すと述べた。

 韓国側は、外交通商部が4日に報道官声明を発表し、「批准の手続きが迅速に完了することを期待する」と歓迎する一方、韓国国会に対して9月16日に国会外交通商統一委員会に上程した批准同意案の早期成立を求めた。

 金宗壎(キム・ジョンフン)・通商交渉本部長も5日の国会の国政監査で、「韓米両国は来年1月の発効を目標にしている」と明らかにした上で、韓国側が国会批准急ぐ必要があると力説した。韓国側の韓米FTA批准同意案の処理をめぐっては、野党・民主党が「利益のバランスが崩れた交渉に賛成することはできない」と、米国との再々交渉を主張しているため、こう着状態にあった。政府と与党・ハンナラ党は、米議会での批准が確実となったのをみて、10月中の国会本会議通過をめざしている。

 一方、在韓米国商工会議所は、「両国間の貿易拡大、雇用創出に向け相互利益につながる協定だ」と評価。韓米の企業と労働者の最大利益が実現されるよう、両国の議会が早期にFTAを批准するよう求めた。


◆視 点◆

 韓米FTAの発効が長期にわたり遅れたのは、米国で共和党政権から民主党政権に変わり、米自動車業界などからの圧力に屈したからだ。その後、再交渉で韓国側から譲歩を勝ち取り、批准の条件が整った。今回、米国が韓米FTA批准にゴーサインを出したのには、大きく2つの理由がある。

 第1は、米国内での雇用創出。米国の失業率は9・1%に達しており、7万人の雇用増大が見込める韓国とのFTA発効が有効と判断した。第2は、先に韓国とのFTAを発効させたEU(欧州連合)にこれ以上韓国市場を奪われてはならないからだ。オバマ政権は2014年までに輸出を2倍に増やすと約束しており、韓国とのFTA発効で100億㌦以上の輸出増大が見込める。

 昨年末に妥結した再交渉では、米国は韓国側から大きな譲歩を引き出した。07年の妥結では3000㏄以下の韓国産乗用車の2・5%関税の即時撤廃、3000㏄超の乗用車に対する2・5%関税の3年以内撤廃となっていたのが、すべての乗用車の関税撤廃期間を一括して延長。これにより、来年1月に発効すれば、自動車関税相互撤廃は16年からになる。また、米国産乗用車に対する環境・安全基準を緩和した。結果的に米国は韓国に自動車をより容易に販売でき、自国市場を一時的ではあるものの保護できることになった。韓国側は、米国産豚肉の関税撤廃時期を遅らせるなど畜産物・医薬品特許分野で米国の譲歩を得た。これに対し、民主党を始め野党各党は「屈辱交渉」と非難し、批准反対を宣言。

 だが、韓米FTAは盧武鉉政権時代に進められたもので、民主党内にも基本的に賛成派は多い。韓国側の批准も時間の問題とみられている。韓米FTAが発効すれば、韓国のGDPを6%押し上げ、対米輸出比率を現在の9%台から10%台に増やす効果があるが、韓国は米国とEUという世界最大の2大経済圏とFTAを同時に結ぶ唯一の国となる意味が大きい。貿易で成り立っている韓国としては、国益に大きくプラスになる。