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2012/11/02

<総合>経済成長率、足踏み状態の0.2%

  • 経済成長率、足踏み状態の0.2%

 成長エンジンがとまりつつある。韓国銀行が発表した第3四半期(7―9月)GDP(国内総生産)統計(速報値)によると、実質成長率は前期比0・2%で、事実上の足踏み状態だ。前年同期比でも1・6%にとどまり、2009年第3四半期の1・0%以降、3年ぶりの最低値になった。世界経済の不確実性に照らし、早期回復は困難とみられている。韓銀が予想した年間成長率2・4%も再度下方修正が避けられなくなった。

 欧州財政危機の影響を受けて、韓国経済は今年に入って低成長が続いていた。四半期別の成長率をみると、第1四半期(1~3月)が前期比0・9%、第2四半期(4~6月)0・3%、そして第3四半期0・2%と時とともに成長が鈍化。

 前年同期比でみても、第3四半期には2%を下回る1・6%にとどまった。これは大方の予想を大きく下回る衝撃的な数値だ。オイルショック、通貨危機、世界金融危機時を除き、2%を下回ったことがない。

 産業別にみると、GDPのウエートが大きい。製造業は前期比マイナス0・2%、農業にいたってはマイナス0・4%に落ち込んだ。サービス業も0・1%増にとどまった。建設業は唯一、2・9%と比較的高かったが、これは政府の財政支出効果によるものだ。

 支出面では、特に設備投資が振るわず、減少傾向に歯止めがかかっていない。設備投資の増加率は、第1四半期には10・3%の高い伸びを示したが、第2四半期にマイナス7・0%に急降下し、第3四半期もマイナス4・3%だ。企業が未来に対して悲観的に見ていることを示している。

 韓銀は設備投資不振について「欧州債務危機の余波が持続しており、企業が積極的に投資できる環境にない」と説明した。企業の輸出不振が設備投資の萎縮につながり、経済の不確実性のため投資心理が冷却化しているわけだ。朴在完(パク・チェワン)・企画財政部長官も「投資不振が心配だ」と警戒。

 消費の回復も鈍い。政府消費は前期比プラスに転じたが、わずか0・9%増だ。民間消費も0・6%増に過ぎない。頼みの輸出も、前期比2・5%増の勢いがとまっている。これに伴い、今年の経済成長率は韓銀が大幅に下方修正した2・4%の達成も難しくなってきた。年間成長率2・4%を達成するためには、第4四半期(10~12月)に前期比1・3%(前年同期比2・7%)成長しなければならない。

 だが、昨年第1四半期以降、6期連続で1%を下回っている。今後の見通しも、欧州債務危機が続いており、米国の景気回復ペースも鈍く、中国経済の成長率も鈍化しているため、1%以上を期待するのは難しい。

 景気テコ入れのため補正予算の編成などを主張する声も出ているが、政府は財政問題もあり慎重だ。朴長官は、中長期戦略会議で「短期的な需要喚起を超え、根本的な成長潜在力を高める努力を怠ってはならない」と強調。景気浮揚策をとらない代わり、生産性向上で成長活力を引き出す対策を講じる方針を明らかにした。

 韓国の潜在成長率(インフレ圧力を伴わずに達成可能な成長の上限)は1990年代の7%から現在は4・3%前後に落ちている。いまの2%台の成長は明らかにこの成長潜在力と比べ大きなギャップがあり、改善する必要がある。

 潜在成長率が落ちたのは①労働力供給の鈍化②投資不振③生産性の鈍化に原因があるとされる。少子高齢化で労働力供給は減少し、設備投資も不振だ。残る生産性向上で挽回しようというわけだが、どんな生産性向上策が打ち出されるのか注目される。


  ◆潜在成長率とは 生産活動に必要な設備などの資本、労働力人口と労働時間から求められる労働力、技術進歩によって伸びる生産性の3つの伸び率の合算値を潜在成長率という。潜在成長率は、この潜在成長率と連動する。