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2012/02/24

<総合>韓米FTA 3月15日発効

  • 韓米FTA 3月15日発効

    緊急会見する朴泰鎬・通商交渉本部長(左)、声明を発表するカーク・USTR代表

 韓米FTA(自由貿易協定)が3月15日午前零時に発効する。2006年6月の交渉開始から5年9カ月、07年4月の交渉妥結から4年11カ月で実を結ぶことになった。韓米双方の当局者から21日に同時発表された。これで韓米両国は、相手国に課している工業製品の関税を5年内に95%以上撤廃し、10年以内に全廃する。これにより、両国間貿易の拡大が期待される。

 朴泰鎬(パク・テホ)・外交通商部通商交渉本部長はこの日夜、緊急記者会見を開き、「米国シアトルで進められた韓米FTA履行点検実務協議が終了し、発効日を3月15日とすることで合意する外交書簡を交換した」と発表した。これで韓国は、米国、EU(欧州連合)の2大経済圏とのFTAを発効する唯一の国となった。

 朴本部長は「当初、今年1月1日発効を目標に準備作業を進めてきたが、両国とも点検すべき国内法律の範囲があまりに膨大であり、両国企業が韓米FTAを活用するのにかかる時間なども考慮した」と発効日時がずれ込んだ理由を説明。

 現在、債務危機で欧州向け輸出が停滞しているが、朴本部長は「世界最大の先進国市場である米国とのFTAがこのような時期に発効することは、韓国の対米輸出業者にとって大きな成長の好機となる」と述べた。

 また、野党側が再交渉を求めたISD(投資家対国家訴訟制度)については「FTA発効後90日以内にサービス投資委員会を開催し、米国と調整を図る」と明らかにした。ISDは、両国政府が企業活動を規制したり他国の企業を差別して民間投資家が損害を被れば、相手国の政府を提訴できる制度。第3の仲裁機関で紛争を解決できるため、野党側がISDの削除を求めるなど、最大の争点になっていた。

 崔晳泳(チェ・ソギョン)・FTA交渉代表は「ISDが司法主権を侵害するという反対派の主張に全く同意できない。ISDは外国人投資の誘致、韓国企業の外国投資保護のためにも必須的な規定だ」と強調した。

 協定によると、工業製品の場合、協定発効3年以内に韓国は全品目の94・1%、米国は92・2%を撤廃する。5年以内にこの比率を95・5%、96・9%に引き上げる。

 個別品目をみると、自動車の場合、米国が現在2・5%課している関税を4年後に撤廃し、韓国は8%を発効即時4%に引き下げた後、5年目に完全撤廃する。韓国製カラーテレビ(5%)や液晶モニター(5%)、自動車部品(2・5~4%)も即時撤廃される。

 農産物分野では、コメとコメ関連食品、とうもろこし、じゃがいもなどを撤廃対象から除外した。牛肉と豚肉は15年後の撤廃だが、ジュース用冷凍原液(関税率50%)をはじめ国内農産物と競争関係にあるチェリー(24%)、干しぶどう(21%)、アーモンド(8%)などの関税は廃止され、韓国農家に及ぼす影響は避けられない。

 今回の韓米FTA発効日時発表を受け、与党・セヌリ党や経済界は歓迎しているが、「発効中断」を要求していた野党陣営は強く反発している。総選挙を2カ月後に控え、大きな争点に浮上しており、政局への影響は避けられない。