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2012/08/31

<総合>韓国の格付け・初のダブルAに引き上げ

  • 韓国の格付け・初のダブルAに引き上げ

 米格付け大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスが27日、韓国国債の信用格付けを「A1」から「Aa3」に1段階引き上げた。Aa3は投資適格格付けのうち4番目に高い。格付け見通しは「安定的(ステイブル)」とした。引き上げの理由として①財政の健全性維持②高い経済回復力・競争力③銀行業界の外部ぜい弱性の改善④北朝鮮崩壊リスクの低下―の4点を挙げた。

 今回の格付け引き上げは、2年4カ月ぶりのこと。同じ「Aa3」には日本や中国、ベルギーなどが属している。「Aa3」は韓国が3大格付け会社から受けた格付けの中で最高レベルで、97年の通貨危機以前を超える信用評価を得たことになる。

 21段階ある格付けは、大きくトリプルA(AAA)、ダブルA、シングルA、トリプルBの4段階に分けられる。今回シングルAからダブルAに上がったことは、単純にワンランク上がった以上の価値がある。今年に入りムーディーズがAランク以上の国の中で格付けを上げた国は韓国が唯一で、08年の金融危機後の経済的影響を最もうまく克服した模範生を意味する。

 GDP(国内総生産)が1兆㌦を超える15カ国のうち、Aa3以上の格付けの国は韓国、日本、中国、米国、ドイツ、カナダ、フランス、英国、豪州の9カ国にすぎない。ムーディーズは今年に入って、ギリシャ、スペイン、スロベニア、イタリア、ポルトガルなどの格付けを相次いで引き下げている。

 企画財政部の殷成洙(ウン・ソンス)国際金融政策局長は「世界金融危機以後、主要国の格付けと見通しが軒並み引き下げられる中で韓国が上がったことの意味は大きい。今後、外貨資金調達で肯定的効果を期待できる」と説明。政府関係者は「700億㌦規模の韓日通貨スワップ縮小の動きがある中で、格付けが引き上げられたのは鼓舞的だ」と語った。韓国の対外支払いに全く問題がないことが確認されたからだ。

 ムーディーズは格上げの背景について「韓国の健全な財政的基礎が偶発的な国内リスクや外部衝撃に対処する政策的余力を拡大した。また、韓国経済が国際金融危機を克服するなど外部衝撃に対する回復力を見せた」と明らかにした。

 韓国の統合財政収支は、リーマン・ショック当時の積極的な財政投入の結果、09年は17兆6000億ウォンの赤字を計上したが、翌10年には16兆7000億ウォンの黒字に転換し、昨年は黒字幅が18兆6000億ウォンに拡大した。対GDP比の国の債務残高は、08年の30・1%から昨年は34・0%に拡大したが、今年から縮小に転じ、14年以降は30%を下回ると予想されている。OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均は08年の81・0%から昨年には103・0%に悪化しており、これに比べると韓国は極めて良好だ。

 外貨準備高は7月末現在で3143億5000万㌦に達し、世界7位の規模だ。ムーディーズは、十分な外貨準備高が景気変動から韓国を防衛する役割を果たしていると評価した。

 銀行業界についても、短期外債比率と預貸率が下がるなど、対外的なぜい弱性が緩和されたと評価。銀行の外貨調達状況も大きく改善したと診断した。格付けがワンランク上がると、投資銀行の分析では、加算金利は平均0・001%下がる。韓国は対外債務に対する利子費用が年間4億㌦節減できると期待している。

 ムーディーズは今回、電撃的に韓国の格上げを発表したが、これには北朝鮮リスクの減少が大きく作用していると政府はみている。ムーディーズは、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記体制が安定的に転換し、韓米同盟を通じた地政学的リスクがうまく管理されていると評価。今後、フィッチやS&Pなどの格付けにも影響を及ぼすとみられている。