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2012/10/05

<総合>韓国貿易の縮小続く・9月もマイナス

  • 韓国貿易の縮小続く・9月もマイナス

    釜山港のコンテナターミナル。輸出入物量が昨年より減っている

 9月も貿易縮小が続いている。知識経済部によると、同月の輸出実績は前年同月比1・8%減の456億6000万ドルを記録した。3カ月連続のマイナスだ。輸出が数カ月連続で減少したことで、国内景気にも深刻な影響が出ている。輸入も6・1%減の425億1000万㌦で、マイナス基調が続いている。貿易収支は31億5000万㌦の黒字で、8カ月連続の「不況型黒字」となった。

 欧州の債務危機に端を発した世界経済の低迷で、韓国の成長牽引車である輸出が年初から大きな影響を受けている。7月の8・8%減、8月の6・2%減に続き、9月もマイナスとなった。減少幅は縮小したが、回復の兆しは見えない。

 1~9月の輸出は前年同期比1・5%減の4084億3000万㌦、輸入は0・9%減の3896億6000万㌦となった。貿易収支は187億6000万㌦の黒字。黒字は出しているが、貿易縮小の中の黒字であり、経済は萎縮している。

 9月の輸出実績を品目別にみると、石油製品が24%、無線通信機器が10%とそれぞれ高い伸びをみせた。特に、無線通信機器は、サムスン電子のスマートフォン(高機能携帯電話)「ギャラクシーS3」などの新製品が好調で、12カ月ぶりにプラスに転じた。石油化学(2・4%)、自動車部品(1・4%)もプラスを維持した。

 だが、輸出の3本柱である船舶は50・6%の大幅減となり、鉄鋼(9・15%)、自動車(5・0%)、液晶パネル(0・4%)、半導体(3・0%)など主力輸出商品が軒並み減少した。

 地域別では、中東地域が17・8%増と引き続き好調を維持しているが、中国向けは1・1%に伸びが急激に鈍化した。また、FTA(自由貿易協定)を締結した米国は0・4%、EU(欧州連合)は5・1%それぞれ減少した。特に、対日輸出は12・6%と大幅に減少した。

 一方の輸入は、ガスや石炭などのエネルギー資源の輸入減に加え、内需不振で資本財や消費財の輸入も減少した。

 政府は、世界的な景気回復の遅れで、年内の輸出回復は厳しいと見ている。

 貿易の萎縮が国内経済を萎縮させ、消費減退でデフレの兆候が見え始めている。韓国銀行は国会に提出した「通貨信用政策報告書」で、「国際穀物価格急騰、台風後の農水産物価格上昇にもかかわらず、7~8月の物価上昇率は予想を下回った。年間消費者物価上昇率が当初予想の2・7%を下回る可能性がある」と報告した。

 消費者物価上昇率は1%台に下がっており、2%を記録した9月の消費者物価上昇率も農水産物や石油価格を除けば1・4%にとどまる。国内景気回復が遅れる可能性が高いことを示している。

 韓銀関係者は「対外環境の不確実性が増大しており、消費萎縮と過剰負債、家計の元利金負担などが消費回復を制約している」と分析した。不動産価格下落で資産デフレも起こっており、経済全体のデフレ化を憂慮する声が高まっている。