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2013/04/19

<総合>政府・17兆3000億ウォンの補正予算案編成

  • 政府・17兆3000億ウォンの補正予算案編成

    総額17兆3000億ウォンの補正予算案を議決した閣議。左から3人目が鄭烘原国務総理

 政府は16日の閣議で、景気浮揚のため総額17兆3000億ウォンの補正予算案を議決し、国会に提出した。国会承認なしで基金から支出を増額できる2兆ウォンを含めると19兆3000億ウォンに達する。世界金融危機時の2009年に編成した28兆4000億ウォンに次ぐ過去2番目に大きい補正予算だ。景気回復にかける強い決意を示すものだが、中身を見ると効果を疑問視する声もある。

 景気回復が至上命題の韓国経済にとって、補正予算案の編成は必要不可欠だった。17兆ウォンという大規模編成になったが、実際に歳出に使われる額は限られている。景気沈滞による税収不足分6兆ウォンと公企業民営化遅延による税外収入6兆ウォンの12兆ウォンを穴埋めするため、純粋な歳出拡大は5兆3000億ウォン(基金含め7兆3000億ウォン)となる。

 玄旿錫(ヒョン・オソク)・副総理兼企画財政部長官は「今回の補正予算で今年の経済成長率は2・6%に引き上げられると期待する」と語った。政府は今回の補正予算編成に先立ち、成長率予測を2・3%に下方修正していた。0・3ポイントの上昇を見込んだことになる。

 歳出拡大の内訳をみると、①雇用創出と国民生活安定に3兆ウォン②中小・輸出企業支援1兆3000億ウォン③地域経済と地方財政支援3兆ウォンとなっている。

 今回の補正予算で、最も力を入れているのが雇用創出。朴槿惠大統領が雇用率(15歳以上の人口比就業者数)を70%に引き上げるとした公約実践の一環だ。補正を通じて新たに4万人の雇用を創出するとしている。すでに目標にしている25万人と合わせ、年内に29万に増えることになる。

 特に、社会サービス部門の雇用創出に力をいれ、雇用と福祉を同時に実現する戦略だ。まず、2000億ウォンを投入し、社会福祉専門公務員、警察官らの採用を年内に4000人増やす。また、1000億ウォンで老人介助などの社会サービス雇用も2万人増員し、20万4000人に増やす。雇用創出の基盤づくりにも力をいれ、青年専用創業資金1600億ウォンを拡充する。

 だが、金額的には4・1不動産対策用に多く使われ、1兆4000億ウォンを投入する。住宅購入・賃貸保証金への融資に4000億ウォン、賃貸住宅の追加供給に6000億ウォンなどだ。中小企業支援では信用融資の規模拡大、操業資金支援などが中心となる。

 地域経済活性化は社会間接資本に新たに投入するよりは、改修や補修に力を入れ、道路、鉄道、ダム、港湾などの改良に投資の重点を置く。

 補正予算の財源は、昨年の歳計余剰金、韓国銀行の剰余金追加額、歳出減額分などを充て、残りの16兆1000億ウォンは赤字国債の発行で賄う。これで、今年の一般会計の赤字国債発行額は24兆7000億ウォンに拡大する。財政収支の赤字は23兆5000億ウォン、国家債務はGDP(国内総生産)比36・2%の480兆5000億ウォンに拡大する。

 問題は政府だけの力では限界があり、民間の協力が必要である点だ。朴大統領は「上場企業が保有している現金性資産52兆ウォンの10%だけ投資しても政府が推進している補正予算の歳出拡大規模に匹敵する水準だ」と財界に投資を呼びかけているが、企業側は経済民主化の動きをにらみ、慎重だ。

 専門家の間からは「企業投資意欲をよみがえらせてこそ、補正予算の浮揚効果も期待できる」として、「景気回復を優先するのか、経済民主化を優先するのかをはっきりさせるべきだ」との指摘がなされている。