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2001/11/09

<鳳仙花>◆鳥博士の願い◆

 東アジア地域の環境保護・公害防止に業績のあった個人・団体を顕彰する「2001年度韓日国際環境賞」を、鳥類学者の元ビョンオ・慶熙大学名誉教授が受賞した。長年にわたる鳥類研究と環境保護への取り組みが高く評価されたものである。

 日本で元博士の業績を知る人は少ないが、韓国では「鳥の父」として有名だ。

 父の金洪九氏が金日成総合大学の教授をしていた鳥類学者で、「その父の姿や数多くの鳥の標本を見て、幼い時から鳥が好きになった。父について鳥類研究を始めたのはごく自然なことだった」という。

 しかし共産主義思想に共鳴出来なかった元博士は、韓国戦争が起こると家族と別れて韓国に渡った。停戦後は、韓国で鳥類研究をしながら生態系保護に取り組んできた。鳥類研究は地道なフィールドワークの積み重ねである。家を長期間留守にすることも多い。そのような生活を経ながら50種類の鳥類を発見した。中でも、ベールに包まれていたキタタキの繁殖の実態を、研究員の献身的な協力を得つつ、初めて明らかにし注目を集めた。

 「鳥類研究は鳥そのもののためだけではない。鳥がただ美しいから研究し、保護しようというのではない。鳥の保護は生態系すべての保護につながり、それは人間の豊かな暮らしを持続させることにつながる」というのが博士の信念だ。

 今年72歳になる元博士の最後の望みは、後進の育成、それに北朝鮮での調査である。「北の生態系がどうなっているか、それを調査・把握し、南北共同で生態系復元に取り組みたい」と、受賞式で語った。

 元博士が自由に北で鳥類をはじめとした生態系の研究を行い、韓半島全体の生態系復元に取り組む日が早く来てほしい。(L)