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2001/06/29

<鳳仙花>◆韓日サンマ紛争◆

 日本政府が三陸沖での韓国漁船のサンマ漁の操業許可を留保したことから、両国間の新たな紛争の火種となっている。

 日本が領土権を主張する北方4島周辺海域で、韓国がロシアとの合意でサンマ漁を決めたことが発端。日本側は主権侵害としてこの操業を認めず、報復として三陸沖の排他的経済水域内での韓国漁船の操業許可を留保にしたのが経緯だ。

 98年10月の金大中大統領訪日による韓日新パートナー宣言以降、韓日は良好な関係が続いていたが、今年は歴史教科書問題が浮上し、いまだに決着していない。ほかにも、韓国産ミニトマトや加糖調製品に対するセーフガード(緊急輸入制限措置)発動の動きという問題も残っている。

 韓国側は再三、日本側に留保撤回を求めている。韓国側の言い分はこうだ。「韓国の北方4島での操業は、日ロの領有権争いとは無関係。国際法や国際慣行からしても正当」「3陸沖の操業不許可は韓日漁業協定に違反している」というものだ。これに対し日本政府は「主権侵害は容認できない」と強硬姿勢を貫いている。

 韓国政府は留保措置に対する抗議として、韓国の排他的経済水域での日本漁船の操業禁止、28・29日に東京で開かれる国際捕鯨委員会非公式準備会議への出席取りやめを検討している。

 一方で韓国側は打開策として、北方4島漁場の代替案を提案しているが、日本は拒否している。これはすでに92年に前例があるというから、日本政府も真剣に検討してみてはどうだろうか。韓国政府内には、昨年の三陸沖のサンマ漁は約100㌧に過ぎないので、慎重に対応すべきとの声もあるという。報復合戦へとエスカレートして得るものは何もない。ここは双方が妥協するしかないように思われる。両国の冷静な対応を望みたい。(T)