ここから本文です

2001/02/09

<鳳仙花>◆助け合いに国境はない◆

 JR新大久保駅で先月末、酒に酔ってホームから転落した男性を助けようとして亡くなった韓国人留学生、李秀賢さんのホームページには、その後も数多くのアクセスが続いている。

 開いてみると、マウンテンバイクに乗った李さんの精かんな姿、恋人との楽しそうなようす、将来の夢を語った文章が掲載されている。あの悲惨な死と対比して、本当につらい気持ちにさせられた。

 アクセスはすでに50万件を超え、追悼メッセージの書き込みも、「あなたのことを決して忘れない」「勇気に敬服する」など、韓国、日本、在米韓国人などから2万通近く寄せられている。

 当社デスクにも、「韓国の人たちに申し訳ない」「あのヒューマニズムを、決して忘れない」「負けないように生きたい」など、多数の声が届いた。
 李さん、そして日本人カメラマンの関根史郎さん、二人の犠牲を無駄にしない道とは何なのだろう。

 李さんが通っていた日本語学校の韓国人職員が、こう語っている。
 「亡くなった日を、日韓交流の記念日にという声もあるが、むしろ日本人と外国人が力を合わせる国際交流の記念日にしてもらいたい」

 ここに大きな示唆があるような気がする。95年の阪神大震災時には、在日外国人も数多く被災。韓国人の死者も131人にのぼった。

 復興の過程で、日本人と韓国、中国、ベトナム、フィリピンなど多くの人々が協力、人は民族や国籍に関係なく助け合えることを示した。「多民族共生」の実践といえるものだ。

 今回の李さんたちの尊い犠牲も、「多民族共生」を本当に実現する中で癒されることだろう。日本には多くの記念日があるが、「1月26日を国際交流の日」とすることを、検討できないものだろうか。(L)