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2002/11/01

<鳳仙花>◆「大学祭シーズンを迎えて」 ◆

 大学祭のシーズンがやってきた。最近は社会問題や国際情勢を考える講演会やシンポジウムなどは陰をひそめ、有名タレントのコンサートや模擬店などが大盛況となっている。知人の大学職員によると、大学が主催する各種のシンポジウムなどでも、学生の集まりは良くないそうだ。

 先日、早稲田大学で開かれた韓国・延世大学との共催による「日韓ミレニアムシンポジウム2002」をのぞいてみた。

 金泳三・韓国前大統領、森喜朗・前首相、それに韓日のそうそうたる学者が報告した貴重な催しだったが、学生の参加者は少なく、「韓日関係はこんなに変わろうとしているのに、日本の若者は関心があまりないのか」との声も聞かれたほどで、正直残念な気がした。

 そんな風潮の中、留学生と共に国際問題を考える企画に力を入れているのが、新設の立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)だ。学生数2800人のうち留学生が約40%の1200人を占める国際色豊かな大学だが、この30、31日には、国連の平和大学などとの共催で「2002年世界学生サミット」を開催、『人間の安全保障』『持続可能な発展』を主要テーマに、韓国、米国、カナダ、中国、ドイツ、タイ、インドなど世界各国の学生が日本の大学生と議論を交わした。

 同大学では年2回の大学祭も国際交流に力を入れた催しを行い、多数の学生が参加している。

 「留学生や世界の学生と交流することは、日本人学生の自覚を高めるのにも有意義だし、世界の学生の発言、アピールの場を用意するのは大学の責務」と関係者は語っているが、まさにその通りだと思う。

 国際色豊かな企画が今後、多くの大学から登場してほしいものだ。(L)